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臨済宗大本山 円覚寺

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2020.01.17
今日の言葉

慢心

作家で政治史研究家の瀧澤中先生のご講演を拝聴しました。

瀧澤先生は、最近『ビジネスマンのための歴史失敗学講義』をいう本を出されています。

さまざまな歴史の事実を検証して、どうして失敗したのか、その失敗から何を学ぶことが出来るのかが書かれています。

誰であろうと、失敗のない人生はなかろうと思います。

その失敗から何を学び、失敗をどう生かしてゆくかが大切なのです。

拝聴したご講演では、「慢心を諫め、真の自信を得るため」というテーマでありました。

慢心の例として、今川義元と織田信長をあげられていました。

誰しも知っている戦国武将の話です。

今川義元という武将は、今日ではかなり脚色して描かれていますが、実際にはすぐれた武将であり、当時圧倒的な軍勢を誇り、軍議も十分に行われて、勝利を重ねてきていました。

しかも氏真という後継者も得て、いわば盤石の体制だったのです。

しかし、織田勢の動きにしてもあらかじめ把握していたにもかかわらず、普通であれば警戒するはずの敵勢の動きに鈍感になっていました。

これが「慢心」であります。

強くなって勝ち続けていると、自分で局面を想定してしまうと言われます。だいじょうぶだろうと思ってしまうのです。

そんな今川義元を破ったのが織田信長です。

しかし、その信長にしても、本能寺の変で討たれてしまいました。

当時の信長は、長年の苦労であった石山本願寺との戦も終わり、ほぼ天下を手中にしていました。

勝ち続けて有利になっていたのでした。これが慢心を生んだのです。

明智光秀の軍勢に囲まれるまで気がつかなかったのでした。

仏教では、煩悩のひとつに「我慢」を説きます。

「我慢」とは、「煩悩の一つで、強い自我意識から起こる慢心のこと。仏教では自己を固定的実体とみてそれに執着すること(我執)から起こる、自分を高く見て他を軽視する思い上がりの心を慢と呼び、このような心理状態を分析して三慢・七慢・九慢などを説く。」

と岩波仏教辞典には説明されています。

一般には「我慢する」というと辛抱する意味で使われますが、もともとは慢心のことです。

「現代の日本語で、自己を抑制する、耐え忍ぶの意に用いられるのは、我意を張る、強情の意を介した転義で、近世後期からの用法らしい。」と解説されています。

慢心と自信を取り違えてはなりません。

慢心は、オレはすごいと思い込むこと、自信は、自分はやればできるのだと励ますことだ瀧澤先生は説明してくれました。

慢心を取り除くにはどうしたらいいのでしょうか。

やはり仏教の基本に返って、「無常、無我」であることを見つめるしかないと私は思います。

すべては、無常なのです。いつどうなるか、分からないのです。明日どうなるかもわからない、いや一寸先どうなるか分からないと意識すること。

そして「無我」われひとりあらずです。常にまわりとの関わり合いによってのみ自己は成り立っていると冷静に見つめることです。

自分ではそのように学習したつもりでした。

そんな講義を受けた翌日、上京しました。

鎌倉では朝方の雨も止んでいましたので、都内も降っていないだろうと思って傘を持たずに出かけました。

ところが、駅を出ると強い雨が降っていました。

降らないだろうと思うのも、油断であり、だいじょうぶだろうと思ったのは慢心でした。

用心して傘の用意をすべきでした。

いくら勉強しても、自分自身において実践することは難しいと、やはり自身の失敗から学んだのでした。

瀧澤先生には、今年の円覚寺の夏期講座の講師をお願いしています。

 横田南嶺

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