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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.09.16
今日の言葉

沖縄で法話

九月九日の重陽の日には、沖縄に出向いていました。

朝のお勤めや坐禅や禅問答などはいつものように勤めて、お昼過ぎの飛行機で参りました。

台風の心配をしていましたが、長らく停滞していた台風もなくなって、無事に飛行機で行くことができました。

昼過ぎに出て、夕方に沖縄に着きました。

その日の午後七時から法話をさせていただきました。

そして翌日帰ってきました。

慌ただしい行程でありましたが、無事に終えることができました。

この頃は講演や法話のご依頼をいただいても、とてもすべての要望にお応えすることはできなくなりました。

修行道場で修行僧の指導もしなければなりません。

ご縁の深い所のみおうかがいさせていただいています。

沖縄の法話というのは、ご縁のある方からのご依頼でありました。

この法話の会は、喫茶説法般若の会というものです。

今から四十年前から続いています。

今回は四十周年特別企画となったのでした。

昭和六十一年(一九八六)に沖縄興禅寺の崎山崇源老師をはじめ、真言宗などの和尚様方を中心にして始まった会であります。

寺の中だけでなく、多くの人がもっと気楽に聞ける場で仏教の教えを説こうという趣旨で始まっています。

はじめは喫茶店で法話をなされていたのでした。

これは松原泰道先生が喫茶店で説法するという南無の会を始められておられた影響を受けられているようです。

この崎山老師という方と私はご縁がございました。

今までにいろんな禅僧にお目にかかってきましたが、この方は実に「古仏」という風格をお持ちの方でいらっしゃいました。

崎山老師は那覇市に生まれて、戦後、米国統治下の沖縄から本土に渡り、久留米の梅林寺で修行し、更に京都の妙心寺僧堂で修行し、三島の龍沢寺で山本玄峰老師に参禅し、更に円覚寺に来て朝比奈老師に参じておられた方でした。

私が修行していた頃は、師家は足立大進老師でしたが、この足立老師にも沖縄から来ては参禅なされていたのでした。

その頃崎山老師は七十代、足立老師は六十代、そして私はまだ三十代の頃でありました。

その崎山老師たちが中心となって始まった会が四十周年を迎えて、今その般若の会を継承されている盛光寺の上江洲和尚様からご依頼をいただいたのでした。

崎山老師は、尊敬申し上げる禅僧ですし、修行時代にいろんなお話を聴かせていただきました。

そういうご縁の会ならば是非ともと思って日程を調整しました。

もっともこの頃は予定が混んでいますので、飛行機で行っては、会場とホテル以外にはどこにも行かずに帰ってきたのでした。

やむを得ないことであります。

まず沖縄に着いて、お世話になる上江洲和尚の盛光寺にご挨拶にうかがいました。

ご本堂で般若心経をあげて、お茶をいただきました。

ご住職の上江洲和尚とご子息の副住職様にお世話になりました。

お二方とも花園大学で学ばれた和尚様でいらっしゃいます。

そこで花園大学を通しての依頼でありました。

盛光寺様にお詣りしてすぐに会場に向かいました。

般若の会は、今は那覇市にあるジュンク堂という大きな書店で行われているのです。

有り難いことにいつもよりも広い会場をご用意くださいました。

はじめに盛光寺の上江洲和尚がご挨拶されました。

般若の会の設立の経緯などをお話くださり、四十周年で私を招いたことなどを紹介してくださいました。

私は、「いつもほほえみをーよい習慣を作るー」と題して一時間話をさせてもらいました。

いつものように、はじめに皆で手を合わせて感謝をしました。

書店での法話なので、会場のすぐそばは、本が並んでいてお客様もいらっしゃるのです。

そのような場ですので、落ちつくためにはまず手を合わせ目を閉じて感謝をしたのでした。

それだけで法話をするという雰囲気ができてきます。

自己紹介を兼ねて生い立ちから小学生の頃から坐禅を始めたことを話し、中学生の頃に『天台小止観』を学ぶご縁に恵まれたことを話しました。

ラジオで松居桃楼先生がご講義されたのでした。

仏教の教えは、悪いことをしないように、良いことをするということに尽きます。

『天台小止観』にも冒頭に「諸悪莫作、衆善奉行」と書かれています。

何が悪いことで何が良いことなのかは、とても難しい問題です。

それを松居先生は、「一粒でも播くまい、ほほえめなくなる種は、どんなに小さくても、大事に育てよう、ほほえみの芽は、この二つさえ、絶え間なく実行してゆくならば、人間が生まれながらに持っている、いつでも、どこでも、なにものにも、ほほえむ心が輝きだす。」と分かりやすく説かれました。

そこからほほえみの心を話してゆきました。

いつでも、どこでも、なにものにも、ほほえむ心こそ、禅では仏さまの心、仏心といっています。

そしてその仏心は誰でも生まれながらに持っているのです。

その心を育てるための良い習慣を作ることを話しました。

戒を保つことから始まって、目や耳や鼻や舌や皮膚に触れるものを大事にすることなどを説きました。

それからお互いの心に、尊い心が具わっていても、それを覆い隠しているものがあると伝えました。

貪りや怒りなどです。

よく心を観察して、心が貪りや怒りなどに覆われていることに気がつくことが大切です。

そして食事や睡眠、姿勢や呼吸、心を調えることを説きました。

『天台小止観』の二十五方便に則ってお話しました。

終わりに琉球大学の名誉教授であるチャンドララール先生が挨拶されましたが、私の話に仏教の教えのすべてが込められていると仰ってくださいました。

有り難いことでありました。

沖縄にも私のYouTubeを毎日聞いてくださっている方もいらっしゃって、お声をかけてくださいました。

多くの方と写真撮影もさせていただきました。

崎山老師以来の有り難いご縁でありました。

 
横田南嶺

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