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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.06.24
今日の言葉

お坊さんの研修会

先日は円覚寺で、円覚寺派の住職研修会が行われました。

円覚寺派の住職や副住職の研修会であります。

今回は、先年臨済宗黄檗宗で行われた宗勢調査をもとにした勉強会となりました。

円覚寺派のお寺は二百十ヶ寺ほどありますが、今回の参加者はとても少なかったのが特徴でありました。

円覚寺の中の和尚さんや修行僧を除くと、よそから参加された和尚は十名にも満たないものでありました。

今までにない少ない数でありました。

『寺院消滅』という衝撃的な題名の本が出版されたのがもう十一年前となりますが、寺院消滅の前に、円覚寺派では研修会が消滅しそうであります。

研修会は私の講演と平子泰弘先生の講演とでありました。

平子先生は、曹洞宗の和尚様で、このたびの『臨済宗黄檗宗宗勢調査』の実施に関わられた和尚様でいらっしゃいます。

せっかく宗勢調査という大がかりな調査を行ったので、それをもとにして研修をしようということになったのであります。

私は、「これからのお寺はどうなるのか?危機の時代にこそ仏法の灯を守るー」と題して講演をしました。

二〇二五年国勢調査の速報値によると、二〇二五年一〇月一日時点の日本の人口(外国人含む)は1億2304万9524人で、前回調査(2020年)から309万6575人減少したと言われます。

出生数は1949年で269万6638人だったのが、2024年で68万6061人となっていて、75年間で出生数はなんと約4分の1になっています。

最近では一年で九十万人ほど人が減っているのであります。

そこから修行道場の修行僧が減っているという問題について話を始めました。

今からちょうど十年前に、臨済禅師千百五十年、白隠禅師二百年の大遠諱を行いました。

そのときに全国の修行僧を京都の東福寺に集めて大摂心をしたのでした。

その頃で全国の修行僧は二百六十名いたと言われていました。

東福寺に集まった修行僧は二百三十名ほどでありました。

それから十年で、おそらく今は全体で二百名を切っていると言われています。

半減とまではいきませんが、かなりの割合で修行僧は減っています。

わずか十年でかなりの減少なのであります。

修行僧が減っているということは将来的には、今の修行僧たちがお寺の和尚さんになってゆきますので、臨済宗のお坊さんが減っていくことを表しています。

お坊さんが減るということは、後継者が少なくなるのです。

後継者不足の問題は大きなものです。

今でもお寺の和尚様がお亡くなりになってあとを継ぐ人がいなくて困っているということが円覚寺派でも出ています。

円覚寺派で見ても、今現在後継者がいないというお寺がや約半数あるのです。

そんな深刻な状況の話をしておいて、これから生き抜いていくお寺の例としては、やはりなんといっても、「この道に命を捧げる」という覚悟の和尚さんの寺は残っていくと伝えたのでした。
八木重吉さんの詩を紹介しました。

神の道

自分が
この着物さえも脱いで
乞食のようになって
神の道に
したがわなくてもよいのか
かんがえの末は
必ずここにくる

という詩であります。

この着物さえ脱ぎ捨てても、無一物になっても祖師の心にかなうように、ブッダの御心にかなうように生きていこうという思いであります。

『論語』に

子曰わく、
之を知る者は之を好む者に如かず。
之を好む者は之を楽しむ者に如かず。

という言葉があります。

知っているというのは好むのには及ばない。好むというのは楽しむのには及ばないということです。

好きで楽しんでやっていることほど強いものはありません。

藤田一照さんや、佐々木奘堂さんの話をしました。

お二人とも、この坐禅の道が好きで楽しんでいらっしゃるのです。

それから新しい時代の試みとして、御朱印の話もしました。

ホトカミの吉田亮さんに教わったことです。
三重県津市の四天王寺様で、この五年で多く方から御朱印をお求めていただいて、令和の大観音像を造立したという話であります。

御朱印というと円覚寺では参拝に来てくださった方に書かせてもらっていますが、インターネットを活用して直接お寺に来られなくても郵送で御朱印を授与することも可能なのです。

そうして新に多くの方にご縁を結んでもらうこともできます。

やる気があればいろんな可能性のある時代にもなっているのです。

平子先生は、円覚寺派のお寺の状況について調査をもとにして話をしてくださいました。

円覚寺派の和尚さんがどういうことに危機感を覚えているかというと、一番多かったのが信仰心や先祖に対するこの感覚が変化しているということでした。

そして、次に多いのが墓地の無縁化で、それから檀信徒の減少、後継者の問題、葬儀の簡素化、墓じまい、過疎化などであります。

寺院を継承していく上での不安は、やはり一番多いのが、将来的な寺院の護持の見通しが不透明だということでした。

後継者がいないことが不安の種になっていることが分かりました。

いずれにしても厳しい状況だと分かります。

そんな中でやはり志を持って生き抜くことが大事だとお伝えしたつもりであります。

「自分は僧侶として好きなことをやっているのだから、一握りの米も頂けなくなったら、誰を恨むでもない。そのときは、心静かに飢え死にすればいい。高祖いらい、みんなその覚悟でこられたからこそ、こんにちの禅門があり、禅僧といわれる人は、その祖風をしたって仏門に入ったはずである。」という関大徹老師の『食えなんだら食うな』(ごま書房)にある言葉を紹介して私は話を終えたのでした。

 
横田南嶺

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