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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.03.28
今日の言葉

空っぽになる寝る禅

先日、寝る禅も第六回を終えることができました。

六回続けてくると、その方法もかなり確立されてきました。

毎回、自分自身が行うたびに、深く休まり、空っぽになる感覚が味わえます。

今回で二回目の方が、「空っぽになれた」ととても喜んでくれていました。

空っぽになることに感動されているのです。

ということは、いかにいろんなものが詰まっているのかが分かります。

何が詰まるのか、身体的には、いろんな凝りや疲れが詰まっているのでしょう。

それから頭の中、心の中にもいろんな煩いや悩みや思考が詰まっているのでしょう。

禅の修行というのはもともと何かを新に学んだり、加えたりすることではありません。

ひとことで言うと空っぽになることです。

仏光国師は、「空蕩蕩地」と表現されています。

空は空っぽ、蕩蕩は広くはるかなさまです。

心の中に重くのしかかっているものをひとつひとつ取り除いていって、空っぽになるのだと説かれています。

坐禅の修行というのは、深く精神が統一された状態に入り、一切が空であること、自己を忘じて万物と一体であることを体感するのです。

それにはかなりの時間がかかります。

ところが寝る禅はそれほどの時間を要さずに空っぽになることができるのです。

寝る禅で何をやっているのかというと、今回も参加してくれたホトカミの吉田亮さんが、簡潔にまとめてくれています。

noteに書いてくれたものです。

よくまとめてくれているので、そのまま引用させてもらいます。

「寝る禅の3つの要点

「ひとつ目は、【脱力】。

首、肩、お腹、背中、お尻(仙骨まわり)、そして足の順に、
畳の上で全身をほぐしていきます。

身体の力がどんどん抜けていきます。

ふたつ目に、【骨盤の矯正】。

畳の上で仰向けになった状態で、全身をほぐしていきます。
身体をほぐしながら、合間合間に骨盤を左右に振って、緩ませていきます。

身体にかかる重力と畳の押し返す程よい弾力により、骨盤の位置が自然と正しい位置に、ととのえられます。

そして、みっつ目が【下半身の充実】。

臨済宗中興の祖である白隠禅師の「内観の法」という呼吸法を行います。

両足を伸ばして、足首は直角に曲げた状態で、お腹を膨らませて息を吸い、お腹を膨らませたまま、息を吐きます。

このとき、両足裏の向こう側に壁があると思って、ぎゅーっと壁を押すつもりで力を入れながら息を吐きます。

この呼吸を繰り返すことで、上半身の力が抜けて、下半身の力がみなぎります。

これを、上虚下実(じょうきょかじつ)といいます。

脱力、骨盤の矯正、下半身の充実。

この3つを味わえるのが寝る禅です。」

と書いてくれています。

まさにその通りであります。

そのことについてまずはじめに皆さんに説明しました。

寝る禅は、場所もとるし、空調もよく効いたところでないと脱力ができないので、この頃は十五名の限定であります。

はじめに凡そなにをするのかを説明しておきます。

今回も二名の方が初めて参加されていました。

そして身体の部位と簡単な動きの説明をしておきます。

何せ寝る禅は、横になったまま行いますので、何も見ることができなくなります。

まず仙骨がどこにある骨なのかを確認します。

それから恥骨も確認します。

骨盤を矯正するのに、横になって仙骨を畳に押し着けるように、恥骨を天井に向かって押し上げるようにするのです。

そのために仙骨と恥骨の場所を確認しておきます。

それから肩をほぐすのに、腕の外旋と内旋を行います。

これもどれが外旋でどれが内旋なのかを実際に見てもらいながら確認します。

そして最後の動きを見てもらいます。

足首を九十度に曲げて、軽く膝を曲げて息を吸います。

そしてお腹を膨らませます。

お腹を膨らませたまま、息を吐き出します。

このときに膝を伸ばしながら、足の裏の向こうに壁があると思って、その壁を押すような気持ちで、お腹を膨らましたまま、足に力を入れて伸ばすのです。

これも実際に見てもらっておきます。

それから耳をほぐすことも見てもらいながら行っておきました。

そしていよいよ横になります。

仰向けです。

まず目を緩めることから始めました。

目にたたんだ手ぬぐいをかけます。

そしてそっと両手で覆います。

それからジワーッと、目がだんだん下に下がっていくように意識します。

これで目が緩んできます。

これだけでもかなりの脱力ができます。

そのあとは、首を小さく軽く動かして緩めます。

そして手を天井に向かって外旋や内旋しながらあげていって肩をほぐします。

そのあとテニスボールを使ってお腹をほぐします。

更にテニスボールを背中に当てて背骨の両側をほぐしてゆきます。

肩甲骨と背骨の間にもテニスボールを当ててほぐします。

これでかなり凝りがとれるのです。

それからお尻もテニスボールでほぐします。

とても気持ちがいいものです。

これで上体がほぼ緩みます。

そこから足に力をいれる呼吸を行ってゆきます。

呼吸は三段階で行います。

まず一般の腹式呼吸で、はじめに息を吐いておいて、吸いながらお腹を膨らませ吐きながら凹ませます。

お腹にタオルを当てて、そのタオルを持ち上げるようにして息を吸い、凹ませるようにして息を吐くのです。

お腹をほぐしていますので、とてもやりやすくなっています。

次は腹圧をかけて息を吐くことをします。

これを足の動きと共に行います。

軽く息を吸いながらお腹を膨らませ、膝を少し曲げます。

お腹を膨らませたまま息を吐き、足に力を入れて伸ばしていくのです。

これを繰り返します。

そして最後は何もしません。

一切を手放します。

呼吸法も一切しません。

すべてを放棄しますが、それでも息が止まることはないのです。

自然と必要な息を吐き、必要な息を吸っています。

この自然の呼吸に任せ、身体の全身の力も抜けて大地に身をすべて委ねるのです。

この時間が至福のひとときとなります。

そうして起き上がります。

この起き上がるのが大事で、できる限りゆっくり、しかも止まらずに、初めに四つ這いになって、ゆっくりと時間をかけて立ち上がります。

そうして立つと皆さんとても美しい姿勢に変わっています。

上体の力が抜けて大地にどっしりと足を踏みしめて立っています。

足の裏の感覚もはっきりして、畳の目も感じられるようになっています。

実に空っぽになっているのです。

皆が脱力して空っぽになって立ち上がったときは、莊嚴な雰囲気がします。

これを坐禅で体験するのは長い時間がかかるのですが、寝る禅は一時間少々で体感できるのです。

目を休め全身を緩め、頭の中も心の中も空っぽになる寝る禅は、情報過多の今の時代には大事なことではないかと思っています。

 
横田南嶺

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