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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.01.14
今日の言葉

仙骨、大事

先日は今年初めてのイス坐禅の会を行いました。

都内の会議室を借りてイス坐禅の会を始めてもう三十二回となります。

先日は新年早々の会でありましたので、独自の工夫を試みてみました。

まずはじめにお手拭きであります。

お手拭きというのは、そとで食事をするときには、よく使うものです。

これをどのようにして使うのか自分で工夫してみました。

また誰かと一緒に食事をすることもあるので、他人はどのようにお手拭きを使っているのかを観察してみたりしていました。

その結果お手拭きをきれいにたたんで丁寧に手や指を拭くと身心共に調うことを実感するようになりました。

これは自分を調えるのに使えると思いました。

そこで皆さんの分のお手拭きを用意して、まず袋を開けるところから始めました。

袋を開けて紙のお手拭きをとり出します。

少し大きいものでしたので、丁寧に四等分にたたみました。

そのお手拭きで、手の甲、手の平を丁寧に拭います。

そして更に親指から指を一本一本丁寧に回すようにして拭いてゆきます。

最後に手首も清めるように拭います。

そして終わったらまた丁寧にお手拭きをたたんでおきます。

これだけのことです。

これだけでも身も心も変わるのです。

神社にお参りするときに、手水で手や口を清めるのと同じであります。

あるいはお茶室に入るときにも手や口を清めます。

それと同じなのです。

会議室の中では、手水も使えませんので、よく使うお手拭きを使ってみたのでした。

手の指も丁寧に拭くので手の感覚が変わってきます。

その次に清めた手で合掌することを行いました。

これもその日はお正月ということもあって、皆さんに鳩サブレーをお持ちしました。

鳩サブレーを手ぬぐいでくるんで、両手の間に挟んで合掌するのです。

強く手を合わせますと鳩サブレーが割れてしまいます。

そっと包み込むようにして手を合わせます。

これだけで体が調い心も落ち着くのです。

そのときに知人の和尚が参加してくれていましたので、体幹の安定を実験してみました。

なにもせずにただ立っているところを、肩を横から押して揺らしてみます。

ある程度体は揺れます。

次に鳩サブレーをそっと包んで立ってもらいます。

そこで横から押しても微動だにしなくなっているのです。

そっと手で包む、これだけで体が安定します。

体の安定が心の落ち着きも生み出すのです。

お手拭きと鳩サブレーを挟んでの合掌と、これだけでももうじゅうぶんイス坐禅に入れるほどに調いました。

手を拭く、手を合わす、こんなことは日常でもよく行っているのです。

そのときに少し意識をもって丁寧に手を拭く、指もいたわるように丁寧に拭く、そしてそっと合掌する。

これは食事のたびに行っていることです。

特に外で食事をする時などは丁寧に行ってみると、身も心も落ち着きます。

そして姿勢を調えて待っていると、食事が運ばれてくるまでの間に自分自身をよく調えることが出来るのです。

日常を変えてゆくこと、何気ない日常の行いによって身心を調えて生活の質を変えてゆくこと、これがイス坐禅で目指していることです。

そのあとビー玉を使って足の裏を刺激ました。

今回は下半身に重点を置いて調えるようにしてみました。

今回特に重点的に行ったのが仙骨であります。

もうこれでもかというくらいに仙骨を意識して動かすことを致しました。

まず仙骨の図を見てもらい、自分の仙骨に触れてもらいます。

そして仙骨をさすります。

仙骨の際の部分もさすります。

仙骨がどんな形なのか鮮明に意識できるようにします。

それから仙骨を前後に動かしてみます。

仙骨の前傾と後傾を繰り返します。

仙骨に手を当てながら、仙骨が前傾する様子、仙骨が後傾する様子を感じながら行います。

仙骨を左右に傾けることもしました。

これは体を左右に傾けるのですが、仙骨に手を当てて、仙骨が左右に動くのを感じるのです。

仙骨の回旋も工夫してみました。

それから仙骨を上下に動かすこともしました。

お尻を少し持ち上げるようにして、仙骨を上に上げて降ろすのです。

そのあと足のうら、足首、膝関節、股関節をよく動かすようにしました。

息を吸いながら膝を少し曲げて、息を吐きながら膝を伸ばして踵を突き出すのです。

これを繰り返すと足が充実します。

足の指を動かすこともしました。

そして最後に頭のてっぺんに鳩サブレーを乗っけて頭から足先までがつながるようにして坐ったのでした。

私自身抜群の安定感で坐ることができました。

そのあといつも少し話をするのですが、その話をするなどというのがもったいないくらい、そのまま坐っていたいという思いになりました。

よく体を調えるとか、姿勢を調えると申しますが、とても漠然とした表現です。

腰を立てるといってもまだピンときません。

そこで仙骨です。

仙骨をしっかり意識して仙骨をしっっかりと立てるのです。

それも固定させるのではなく、前後左右に動くことができる状態で、立体的な感覚で立てるのです。

まさにどっしりと立てるのです。

そうするとそれ以外のところの余計な力が抜けます。

上半身は脱力できて坐れるのです。

終わったあとに「仙骨が軽くふわっと収まるべき場所に自然と収まり、同時にお尻の安定感と背骨の伸びを感じることがきた」と言ってくれた方がいました。

歩くときも仙骨に手を当てて、仙骨から前に出るようにして歩いてみてくださいと伝えました。

終わったあと、こんなに軽やかに力みなく歩けたのに驚いたという感想もいただきました。

仙骨、大事です。

仙骨を意識して坐ることで姿勢が調います。

仙骨運動も皆さんと一緒に行ったのでした。

心地よいイス坐禅となりました。

 
横田南嶺

仙骨、大事

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