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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.12.31
今日の言葉

臘月尽く

本日は十二月三十一日大晦日であります。

月日の経つのは早いものだとしみじみ感じます。

今月京都に泊まった折に、朝早く西本願寺にお参りしていました。

その時のご法話で、年齢と共に歳月が経つのを早く感じるということを話してくださっていました。

年齢に比例して体感速度が速くなるというのです。

十代は時速十キロ程度だそうです。

ジョギングくらいの速度でしょうか。

ゆったりしたペースです。

二十代になると時速二十キロで自転車で走るくらいの速度です。

四十代になると時速四十キロで自動車の速さとなります。

更に五十代、六十代と早くなります。
還暦ですと時速六十キロです。

八十代にもなると時速八十キロですから高速道路の速さになります。

そうなりますと瞬く間にすぎてゆきます。

そして最後に百歳の方が、生きてみると百年はあっという間だと言っていたという話でした。

百キロのスピードで駆け抜けていたという話でした。

それが無常迅速というのであります。

そう考えると年年速度が速くなるのです。

私などもお正月の支度をしたのは、つい先頃のような感覚がしています。

「看よ看よ臘月尽く」という禅語があります。

看ている間に十二月も過ぎてゆくという意味であります。

これは雲門禅師のお弟子である香林禅師の問答に出てくる言葉です。

香林禅師にある僧が質問しました。

萬頃の荒田是れ誰か主と為るという問いです。

「頃」というのは、田畑の広さをはかる単位です。

一頃は百畝だと言います。

万頃で広大な田地という意味です。

広いこの田地の主は誰かというのです。

荒田ですから誰も耕すことのない田をいいます。

主がいないと荒れっぱなしだということでしょう。

これはお互いの心をさしています。

誰が主となってこの心をしっかり耕すのかという意味でしょう。

うかうかしていると見る間に年が過ぎてゆくぞということであります。

また臘月は十二月という意味でありますが、臘月三十日というと、一年の終わりであると共に、いまわの際を表します。

人生の最後の日をいうのです。

うかうかしていると一生が終わってしまうぞというのです。

今年は知り合いの和尚が三名突然亡くなるということがありました。

誰も予想もしない突然の死でありました。

まさに死はいつ訪れるかは分からないと思ったものです。

年末はいつもと同じように行事が続きます。

三十一日の午後二時に佛殿の円覚寺の山内の和尚様方が集まって除夜念誦というお勤めをします。

これは割合に早く終わるものです。

そのまま舎利殿に移動して開山仏光国師にお経をあげます。

楞厳呪というお経をあげるのです。

それが終わると同時に、私たちは修行道場の読経が始まります。

こちらは修行道場の師家である私と、修行僧たちで行います。

修行道場の宿龍殿で本尊様、達磨大師臨済禅師をはじめとする歴代の祖師、修行道場を支えてくれた方々や鎮守様に御回向します。

そのあと修行僧皆で台所の韋駄天さまにお経をあげます。

更に坐禅堂に移って坐禅堂にお祀りしている文殊菩薩にお経をあげて終わります。

そのあと夕方に総茶礼といって、修行道場の修行僧が皆集まって一碗のお茶をいただきます。

師家である私も参列して修行僧皆に、一年を終えるにあたってひと言申し上げます。

それで除夜の行事は一通り終わります。

あとは除夜の鐘を撞くのです。

修行道場には鐘楼がありますので、その鐘を修行僧が皆で四弘誓願を読みながら百八回鐘を撞きます。

コロナ禍の前までは、一般の方々にも撞いてもらっていましたが、今は修行僧たちのみで撞くようにしています。

除夜は夜通し円覚寺の山門を開いてお参りできるようになっています。

私は修行僧達が道場の鐘を撞き出す頃に、円覚寺の弁天堂のそばにある洪鐘を撞きにあがります。

百数十段ある石段を登ったところに洪鐘があります。

北条貞時公の時に作られた国宝の洪鐘であります。

十二時少し前に私が三つ撞いて、そのあと弁天堂に入って観音経を読みます。

観音経を読んでいる間に年が新しくなるのです。

そのあと少し休んで、まず修行道場の元旦のお勤めが午前二時半に始まります。

修行僧達も正装してまず宿龍殿に掛けられた達磨大師に三拝します。

達磨大師はいつも釈宗演老師がお書きになったを掛けています。

そして皆で新年のお茶をいただきます。

それから太鼓が鳴って読経が始まります。

修行道場の読経が終わって少しすると、午前五時に佛殿に行きます。

佛殿には円覚寺の山内の和尚様方もお集まりです。

そこで歳旦の読経を致します。

まず天皇陛下の聖寿万歳をお祈りするのです。

それから舎利殿で読経をして更に舎利殿の後ろにある開山堂で大般若を転読します。

そして観音経をあげます。

それから大方丈に移ります。

そこで大般若経の転読をします。

六百巻ある大般若経を転読という独自の作法でパラパラめくっていくのです。

導師を務める私は大般若経第五百七十八巻の理趣分というのを読んでいます。

終わって金剛経を上巻読んで終わります。

そのあと大書院に移って山内の和尚様で歳旦の茶礼をします。

これで一通りの歳旦の行事が終わります。

終わるとすっかり明るくなっているのです。

一般の皆様は午前六時頃に大方丈にお越しくださると大般若経の転読法要に参列することができます。

大般若の祈禱は三が日かけて午前六時頃に行われるのです。

そんな次第で十二月三十一日の今晩は休むことができないのであります。

 
横田南嶺

臘月尽く

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