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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.12.23
今日の言葉

ととのう喜び

先日は今年最後の大学の授業でした。

今年最後の京都行きとなります。

その日は授業のほかにも実に多くの仕事が入っていました。

始発の電車に乗って京都に向かいます。

便利なもので、朝の八時には京都駅に着くのであります。

山陰線に乗り換えて、円町で降りて大学に向かうと、九時からは仕事を開始することができます。

これも毎回のことですが、移動中はイス坐禅の姿勢で仕事をしています。

九時からは禅文化研究所YouTubeの撮影をしました。

そして大学の総長室に移って、いろんな業務の報告をいただきます。

その日は来客も相次ぎました。

講演の依頼や揮毫の依頼などがありました。

授業の始まるギリギリまで応対していて、終わったあともすぐに来客でお昼を食べる暇もありません。

午後からは禅文化研究所の運営委員会です。

終わったあとも来客の応対が相次いで、その日は京都に宿泊することにしました。

朝はホテルにいようが、どこにいようが三時には目が覚めますので、しばらくは毎日の日課である五体投地百八回や、真向法、坐禅、声を出さずに読経をしています。

六時には西本願寺にお参りしてお念仏を唱えていました。

阿弥陀堂では讃仏偈を唱え、御影堂では正信偈と和讃を唱えています。

そのあと短いご法話を拝聴することができます。

御影堂の外陣は畳四百四十一畳とかで千二百人を収容できるようです。

広い広いお堂であります。

かなり冷えていましたが暖房はありません。

膝掛けを借りられるようになっています。

一時間少々読経をし念仏をしていました。

イス席がたくさんあってイスに坐る方が多いのですが畳に坐る方もいらっしゃいます。

私は隅っこで正坐していました。

これも最近西園先生に教わった正坐の方法で、足がしびれることがありません。

終わって朝の新幹線に乗って午前中に鎌倉に戻りました。

午後からは西園美彌先生の講座であります。

今回も三時間みっちり教わりました。

大学の授業では夢窓国師の夢中問答集を読んでいて、根本智と後得智について話をしていました。

禅宗のお坊さんは悟りを開いている方がいても、人を導く方便が足りないのではないかという問題でありました。

自己の本分の素晴らしさに目覚めるのを根本智といいます。

本分は自己本来に具わっている素晴らしい心をいいます。

それに目覚めるのが悟りの智慧であり、根本智といいます。

それと後得智というのがあります。

後得智は人を教化する方法を言います。

夢窓国師は、自分自身ははっきり悟っているけれども人を導く手立てを持っていない人がいると説かれています。

これはまだ不十分だというのです。

また、逆にいろんな方法や手段をたくさん心得ていても自己の本分に目覚めていないというのも、これもまた人を指導することはできないというのです。

私は体の研究も長らくやってきていますが、やはり同じようなことがあって、たしかに達人なのだけれども人に伝える手段がじゅうぶんでない方もいらっしゃいます。

ただその人は達人でありますから、方法手段を持たなくてもその雰囲気やたたずまいから伝わるものがあります。

またいろんな方法に詳しくても、その本質を視ていないのではじゅうぶんではありません。

西園先生は、その両方を見事に兼ね具えていらっしゃいます。

特に精妙な体のことを的確な言葉で解説してくださるので、よく理解ができます。

理解できるだけではなくて、それを実際に体得できる方法をお考えくださっているのです。

今回は坐る時間の長い私たちの為に、お尻の弾性を高めるように指導してくださいました。

弾性というのは、はずみのある柔らかさという意味であります。

これは大事な言葉だと思いました。

弾性の高いお尻の筋肉がハンモックのようにお尻を支えるというのです。

お尻の筋肉がゆるいと、内蔵もだらっーと下に垂れてしまい、気力のない猫背の姿勢になってしまいます。

それを無理矢理力で起こそうとすると肩や腰が張って、ただきついだけになってしまうのです。

確かに坐禅でもお尻をしめるようにして坐るように説かれています。

大事なことなのだと再認識しました。

それからお尻を鍛えるワークを繰り返します。

何度か繰り返すごとに坐る姿勢がどっしりしてくるのを感じます。

立つと姿勢が高くなっているように感じます。

内転筋を鍛えるワークが目からうろこのような効果でした。

私たちは足を開いて座ることがほとんどですので、内転筋がゆるいと言われました。

私も自分で内転筋を鍛える動きをすることがありますが、西園先生に教わった方法は俄然効果が違います。

立ち上がったときに体の安定感が全く違うのです。

やはり偏った体の使い方はよくないと改めて思いました。

一方向の動きをしたら、その逆の方向にも動かしておくことは大事なのです。

足指や足首を正しく曲げ伸ばしすることも繰り返しました。

魔女トレの基本であります。

それから肩の動き、股関節のワークなどは前回と同じですが、より一層深く行うことができました。

前日からの移動と仕事の多さで、かなり疲れているはずなのですが、体がととのうので、疲れるよりも体が喜んでいるのを感じます。

体がととのう喜び、こんないいものはありません。

西園先生のご指導には敬服し感謝するばかりであります。

今回も藤田一照さんや井上欣也さんもご参加されて共に学ぶことができました。

始まる前終わった後も、控え室では体についての話が弾みます。

共に学ぶ楽しみであります。

 
横田南嶺

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