心の休ませ方
ちいさな冊子であります。
今も300円で販売されています。
かつて禅語の連載をさせていただいたこともあります。
PHPには、ほかにも『PHPくらしラク~ル』や『PHPからだスマイル』『PHPスペシャル』などいろいろとあります。
またPHP増刊号というのも隔月で出ています。
この頃は、このPHP増刊号に連載を担当させてもらっています。
私が担当しているのは、裏表紙のところに、毎日般若心経というのは書いています。
今販売されているのが、PHPベストセレクション二〇二六年一月増刊号です。
もう今回で十九回目であります。
般若心経の一節を短い言葉で解説しています。
今回は「遠離一切顚倒夢想究竟涅槃」というところを書いています。
それから志対談というのを担当しています。
こちらは「人生においても経営においても、禅の言葉をはじめとして仏教の教えは、価値ある指針の一つになるかもしれません。臨済宗円覚寺派の横田南嶺管長が、企業のトップと語り合う」という対談なのです。
今回で第七回となります。
毎回いろんな企業の経営者とお話させてもらえるので、こちらがとても勉強になります。
一月増刊号には、ネッツトヨタ南国の取締役相談役を務める横田英毅さんと対談をしています。
先日は、この志対談の取材を受けていました。
円覚寺の蔵六庵で行っています。
先日の取材は、第九回の志対談でありました。
その折に、新しく出ているPHP二〇二六年一月増刊号を頂戴しました。
手に取って早速開いて見ると、川野泰周さんが出てくださっていました。
PHPベストセレクション二〇二六年一月増刊号の特集は「心の休ませ方、癒やし方」であります。
巻頭の5ページから16ページまで川野さんが書いてくださっています。
「「心の疲れ」は日常生活で解決できる」というタイトルで「マインドフルネスで心を癒やし、前向きに過ごしてみませんか」というサブタイトルがあります。
川野さんの肩書きは、僧侶、精神科医となっています。
小見出しだけ拝見しても
「一つのことに集中すると脳は疲れない」
「マインドフルネスで心を癒やす」
「続けることで自分が変わる」
「日常生活でできる心の癒やし方」
と書かれています。
川野さんは、一九八〇年生まれで臨済宗建長寺派の和尚様であります。
円覚寺のYouTubeチャンネルでも対談したことがあります。
今も四回に分けて公開しています。
慶應義塾大学の医学部を出られて精神科医としても活動されていて、その上で建長寺僧堂で修行されて、住職となられています。
更に今年の十一月に横浜に、クリニックを開設されて院長にもなられています。
お寺の住職だけでもたいへんなのですが、これだけの活躍をなさっているのですから、頭が下がります。
おそらくたいへんな業務でお疲れも多いと察しますが、ご自身が学ばれてきた禅の修行やマインドフルネスで心を調えておられるのだと思います。
そんな体験がもとになって今回の記事があるのだと思うのであります。
日常生活で出来る心の癒やし方にはいろんなことが書かれています。
その中に一挙手一投足に気をつけて所作を丁寧にするということが書かれています。
「タクシーの助手席から降りるときも、バンとドアを力任せに閉めるのではなく、運転手さんに「乗せてくれてありがとう」という感謝の気持ちを込めて、ていねいに閉める」と書いてくださっています。
こんな些細なことのひとつひとつが心を癒やしてゆくのだと思います。
それから「ゆっくり味わって食べること」というのも書かれています。
「食べるときは甘さや辛さ、歯ごたえなどに意識を向けて、ゴクンと飲み込むところまで感じ取ること」とあります。
「今、ここにあるたった一つの現実に意識を集中させる」ことができるようになると、川野さんは次に「モメンタム」を活性させることがおすすめだと説かれています。
「モメンタム」は心の勢いと書かれています。
テンポのいい音楽を聴くとか、朝から数分だけ掃除をするなどが書かれていて、掃除のときはすこしだけ勢いよくスピーディーにと勧められています。
勢いよくやって心に隙をつくらないのがコツだというのです。
これなどは禅の修行の体験がもとになっているのかと察します。
それからこの88ページから95ページまで川野さんの「脳が疲れにくくなるかんたん坐禅&瞑想入門」という記事もあります。
坐禅の仕方から生活瞑想として「食べる瞑想」「歩く瞑想」「掃除瞑想」「空をながめる瞑想」というのが簡潔に解説してくださっています。
久しぶりに紙面でありますが川野さんにお目にかかれてたくさんの教えを学ぶことができました。
この二〇二六年一月増刊号はおすすめであります。
私の担当している志対談では「「目に見えない幸せ」を社員に」というタイトルです。
その中で横田取締役が、「満足」と「幸せ」を分けて考えると説かれています。
「満足」というのは、給与、賞与、昇進。福利厚生、残業の少なさや休日などの数字になりやすく目に見えるもので、「幸せ」は自分が成長する喜び、人の役に立つ喜び、創意工夫する喜び、自分で成し遂げる喜びなど目にみえにくいものだというのです。
取締役からも多くのことを学んだのでした。
お互いに心をよく調えて自分が成長する喜び、人の役に立つ喜びを大事にしたいものです。
横田南嶺