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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.11.10
今日の言葉

イス坐禅の工夫

今月はイス坐禅の講習が多くなりました。

十一月三日は松本市の神宮寺でイス坐禅の会を行いました。

八日は、築地本願寺の銀座サロンで、イス坐禅の講座があります。

それから十二日は、毎月定例の都内八重洲でのイス坐禅会。

十五日は、野沢の龍雲寺様でイス坐禅会。

そして十六日は、鎌倉市内でZen2.0の企画でイス坐禅。

そして十七日は、円覚寺で、建長寺派、方広寺派、向嶽寺派と円覚寺派の合同住職研修会でイス坐禅。

実にイス坐禅が続きます。

これまた有り難いことであります。

しかし、これだけイス坐禅を行っていても、イスに坐るというのは難しいのです。

普段自分の坐禅をイスで坐ろうとは思わないのであります。

やはり畳の上で座布団を敷いてその上で結跏趺坐をする、この安定感に及ぶものではありません。

やはりつくづくと、人間の体はイスに坐るようには適していないのではないかと思ったりもします。

その不安定な中でいかに坐るかという修行をしているとでも言えます。

もともと人間はしゃがんで暮らしていたのだと思います。

地べたにしゃがんで、火をおこしたり、食事をしたりしていたのだろうと想像します。

イスというのはいつ頃からできたのか、定かではありませんが、大きな石の上や、木の枝や、木の杭に腰かけたのが始まりのように思います。

おそらく狩猟採集の時代にはなかったと思われます。

紀元前のエジプトのツタンカーメン王には黄金の椅子というのがあって今に残されています。

こういうイスは権威の象徴であったであろうと思います。
狩猟採集時代では岩や倒木などに腰かけることはあっても、家具としてのイスはなかったようです。

定住して農耕社会が発展してくると、住居とともに家具文化が生まれたので、イスもあったのかもしれません。

このあたりは定かではありません。

ともあれ日本では床に直接坐るという文化でありました。

板の間や畳に坐ってものを書いたり作業をしていました。

それが明治維新後に西洋式生活様式が導入され、学校や役所でイスが使われるようになったようです。

たしかに時代劇の寺子屋の風景ではみな床に坐って勉強をしているようになっています。

そうしますと、長い歴史の中ではまだ百数十年の事であると言えます。

またお寺でも畳に坐ることが主流でありました。

法事や葬儀でもお寺で畳に坐るという形式でありました。

それがいつ頃からか、葬儀は会館が多くなり、お寺の法事もイスを使うところが増えてきました。

日本料理のお店でも畳の上で、イスとテーブルという暮らしになってきました。

こういう変化はここ数十年のことであります。

和式のトイレもあまり見なくなってきました。

このような暮らしの変化が私たちにどのような影響を与えるのか、興味深いものです。

私自身はイスが弘まるほど、畳に坐ることの良さが身にしみてきます。

それは今のところ膝を痛めたりしていないからだと思います。

ともあれ現代においてはイスの暮らしが主流になっているからには、あのイスの上でどのように坐るかが大事になってきます。

坐り方が悪いと腰を痛めることにもなります。

松本の神宮寺様のイス坐禅でもそんな話をして始めたのでした。

そんな話をしながら、このイスの上でどう坐ったらよいか工夫していました。

神宮寺様のホールのイスは木製の上品なおイスで坐り心地もいいのですが、少々低いのです。

低いといっても、これは個人の感じ方です。

いつも八重洲のビルで行っている会では私にとってちょうどいい高さのイスなのですが、このイスで足が床につかないと仰る方がいます。

そういう方にとっては、この低いイスがちょうどいいのだと思います。

床に坐るのとは違って、与えられたイスの高さでどう坐るかが問題になるのです。

神宮寺様でのイス坐禅では三回に分けて坐りました。

はじめには、その前に藤田一照さんの講座があって、皆さんの体がよい状態に調えられていると感じたのでそのまま股関節を引き込むことだけを行って坐りました。

そうしますと、私自身は首と肩あたりにつまりを感じました。

一照さんの講座の間、ノートにメモを取ったりしていたからだと思いました。

こういうことに気がつくというのも坐ることの良さです。

そのあと首と肩をほぐす体操をしてそれからまた少し坐りました。

これで首や肩は楽になっていますし、腰も立って坐れるのですが、イスの場合は、足がまだどうにも落ち着かないという感じが残っています。

床に坐るのでしたら、首と肩をほぐして腰を立てれば十分です。

イスは足が気になるものです。

冷えてくると足が冷たくなったりします。

そのあとはさらに足のワークを行いました。

足首を動かしたり、足で地面を押すように、テニスボールを使いました。

テニスボールを使って足の裏も刺激しました。

足首を動かすことも入念に行いました。

そうして最後三回目に坐ってみると、今度は頭のてっぺんから足の先までしっかりとつながって気が充実した状態になれました。

かくしてやはりイスで坐るにはいろいろな手順が必要なのだと改めて学んだのでした。

低いイスの場合は、足を交差して坐りました。

これは各自で自分の適した方法で坐ってもらうしかありません。

このまま坐るのがいいのか、足を交差するのか、あるいはイスの下の方に足を入れてみる方法もあります。

そうして工夫して安定する坐り方で坐ることです。

イスで坐るために、いろいろ体操をしますので、皆さん体がほぐれてよかったと言ってくださっていました。

どう坐ったらいいかを工夫していくおかげで、体も調ってくるのです。

イス坐禅は楽なようで難しいのです。

長年公案という禅問答に取り組んできましたので、難しい問題に取り組むのは慣れています。

まだまだ探求の余地があります。

ですからイス坐禅は、足を組まなくてもイスで坐れますよ、楽ですよという安易なものではありません。

イスの上でどう坐るか、これが現代の修行なのであります。

 
横田南嶺

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