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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.09.05
今日の言葉

お相撲に学ぶ

先だってはじめ塾におうかがいした折に、元大相撲力士の大岩戸さんにお目にかかりました。

その時に、四股や塵手水について教わっていて、これは是非とももっと学びたいと思って、先日円覚寺で講座を開いてもらいました。

修行僧達と共に、お相撲を学んでいました。

大相撲は相撲道とも言われます。

大相撲の頂点が横綱であります。

しかし、横綱というのは、称号であって、もともとは大相撲の最高位は大関だったそうです。

大関は、大関取の略です。

横綱は、神社のしめ縄なのだと教えてくださいました、

そのしめ縄を腰につけて土俵入りをするのです。

ただいまの横綱大の里の話をしてくださいました。

私はもう長らく相撲を見ることもなく、関心も持っていませんでした。

子供の頃は北の湖、輪島、貴乃花などの時代でありました。

千代の富士などもよく覚えています。

お相撲の世界では三年先の稽古という言葉があるそうで、今やっている稽古が三年後に成果がでるというのだそうです。

それが大の里関は、大相撲に入って二年で横綱になった方だというのであります。

この話には驚きました。

二〇二三年の五月場所が初土俵だそうです。

それが二〇二五年に横綱になったのです。

幕下付け出しから横綱昇進までの所要場所数が一三場所で歴代一位だそうです。

それがただいまの相撲道の頂点です。

大岩戸さんが語られたのは、ご自身がこれから講座で教えるのは、相撲道ではなく相撲術だということでした。

相撲術というのは、大岩戸さんによれば、

「日常生活に相撲の動きを取り入れる方法」ということになります。

はじめに「口是心器(こうぜしき)」という言葉を教わりました。

これは私も初めて聞く言葉でした、

口は是れ心の器と書いて、口の形が器と同じであり、心の状態を表すのだそうです。

口角が上がれば正しい向きに器があることになります。

器が上向きに空いていれば、盛リ付けが可能になります。

口角が下がると、器がひつくり返った状態になリ、盛り付けができなくなります。

口角が下がった顔というのは、ムッとしている表情で人の話も聞けません、

口角を下げて呼吸すると胸で呼吸することになって呼吸も浅くなるというのです。

まず表情から変えるのだと教えてくださいました。

それから相撲術の四大法則を教わりました。

まずは「付かず離れずの法」です。

これは、人間関係においてもあてはまります。

あまり密着しては窮屈になります。

そうかといって離れ過ぎては心も通いません。

つかず離れずとは言い得て妙であります。

これは、体の使い方にも付かず離れずが適しているのだというのです。

そこで座布団を手に取って、敷くという動作を行いました。

座布団を片手で持つと握りしめるようになります。

これはつきすぎるのです。

両手だとふわっと持つことができます。

この塩梅がつかず離れずだというのです。

それから「わきまえ「脇前」(る)の法」です。

わきまえるという言葉がありますが、これを脇と前と書くのです。

脇は左右、前は前方です。
座布団でも手の届く範囲においてとって持つという動作で学びました。

そのように動作を正しく行うことでわきまえることができるのです。

三番目は「第三の目の法」です。

大岩戸さんは、ここで第三の目とはどこにあると思いますかと質問されました。

仏教では智慧の眼といって額にあると説いたりします。

大岩戸さんの説かれる第三の目とはおへそのことでした。

へそを中心に身体を使うのです。

座布団を手に取るときでも、手先だけで取ろうとすると腰が曲がって、へそは下向きになります。

目線と同じようにへその位置も保ちますと、腰をまっすぐにしたまま腰を下ろして座布団を手にとるようになります。

目の動きばかりに頼っていると体のバランスが崩れるというのです。

上体ばかりを使つてしまうことになります。

へその目線というのは新しい発見でした。

それから次は「無」という字と「音」を書いて無音の法です。

これをなんと読むかは全く分かりませんでした。

大岩戸さんは山形のご出身で、山形にある地名にもなっているそうです。

修行僧の中にも山形出身の者がいますが、分かりませんでした。

「よばらず」というのだそうです。

なんでも山形にある地名で、音を立てると竜神様が怒るので、竜神様をよばらない(呼ばない)よう静かに生活していたことに由来とするという説があるそうです。

音を立てない動きこそ、体の使い方の極意であり日本人の様式美であると大岩戸さんは教えてくださいました。

そこで「かつてこれらを全て使いこなす達人がいました、さてどんな職業の方でしょうか」と質問されました。

修行僧たちもあれこれ答えていました。

僧侶だと答えた者もいましたが違いました。

この答えを聞いて私もなるほどと思いました。

そういえばそうだなと納得したのでした。

そんなことを学んで実習に入りました。

まずは蹲踞、塵手水、四股、すり足、ぶつかりなどを実際に教わりました。

かつて大相撲の元力士であった一ノ矢さんに四股を教わったことがありました。

四股や塵手水だけで身体がしっかりと安定することを教わりました。

大岩戸さんの四股は、「無音」で行うのです。

これがとても新鮮でありました。

私も四股を時々行っていますので、音を立てずに行う方法もあるのではないかと考えていたのでした。

そんなことを考えていると、そのような指導者に会えるものです。

かなりきつい四股になりますが、よい鍛錬の方法を学ぶことができました。

そこで大岩戸さんの胸を借りて一人ずつ皆でぶつかりを行いました。

私も思いっきりぶつかりました。

そして最後には少し皆でお相撲を取りました。

私も大岩戸さんの胸を借りて一番取りました。

やわらかくてどっしりとしていて押しても押しても押し返されるのでした。

さすが鍛えられた方は違うと思いました。

修行僧たちも楽しそうに相撲を取っていました。

最後に正座して礼をするのですが、正座して右左右と手をついて丁寧にお辞儀をするとそれだけで四股と同じように身体が調い強くなって安定します。

しかし、汚い言葉を使うと身体は崩れてしまうのです。

有り難うございますと言うと、身体はしっかりと安定します。

四股などの動作だけでなく、礼や言葉でも身体が変わると教わりました。

そして皆で丁寧に有り難うございましたと御礼の挨拶をして終わりました。

お相撲に学ぶよい体験でありました。

 
横田南嶺

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