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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.05.12
今日の言葉

典座

典座という言葉があります。

『広辞苑』にも「てんぞ」と読んで、

「禅寺で、食事をつかさどる役僧。六知事の一つ。」

と書かれています。

座を「ゾ」と読むのは唐音だとも書かれています。

岩波書店の『仏教辞典』にも

「『祖堂集』4に「山和尚は典座と造(な)る」とあるように、禅院において、修行僧の食事を司る役職をいう。六知事(禅院の運営に当る六人の役職位)の一つ」と解説されています。

知事というのは、『禅学大辞典』には、

「知は主、つかさどること。事は事務で禅林の運営のこと。禅門寺院の運営をつかさどる責任のある役位をいう。」

と解説されています。

「南宋時代には知事に都寺・監寺・副寺・維那・典座・直歳の六知事がもうけられた。」とあります。

六知事それぞれの役割は時代やそのお寺によって変遷がありますが、およそのところを申しますと、

都寺とは、寺院全体の責任を負う総監督をします。

監寺は、都寺を補佐し、寺院の諸事を総領する役です。

副寺は、寺院の会計や財政を管理します。

維那は、修行僧の指導や法要を司る役目です。

典座は、衆僧の食事を管理する役です。

直歳 (しっすい)は、寺院の営繕や耕作など作業に関する責任を担います。

今の修行道場でも副寺は副司と書いて、会計を司る役であります。

典座というのは、食事を支度する役目であります。

六知事という大事な役目のひとつになっています。

今でも修行道場では、典座という役には、ある程度の修行を積んだ者が務めることになっています。

修行道場では、相当の修行を積んでいないと、食事の支度をするにも、物を粗末にしてしまったりするからだとも言われます。

また皆が何を食べるかということはとても大事なことです。

皆が修行に励めるように、料理をするのは大事な修行なのであります。

こういう台所の仕事も大切な修行であるとしたのは禅の大きな特徴でもあります。

宗派によっては、いわゆる「まかない」として、修行には考えないというところもあるようです。

臨済の教えでいえば、日常のあらゆる営みが仏の行いなのであります。

曹洞宗では、道元禅師は『典座教訓』という書物を著されて、典座を大切にされていることはよく知られています。

その「典座」という題の映画が作られたということは知っていました。

当時いろんなところで取り上げられていました。

二〇一九年に公開された映画であります。

第72回カンヌ国際映画祭批評家週間「特別招待部門」に選出されたことでも話題になりました。

そんなことは耳にしていましたが、映画には縁のない暮らしをしていますので、見ることもなく今日に到りました。

それがこのたびこの映画を製作された倉島隆行和尚から、DVDをいただいて拝見することができました。

倉島和尚は、三重県の津市にある四天王寺のご住職であります。

曹洞宗青年会の会長も務められた方でいらっしゃいます。

先日の円覚寺でのイス坐禅の会にご参加くださったご縁であります。

曹洞宗という宗旨は、同じ禅宗でも臨済宗とは違って、行持綿密な宗旨であります。

しかも曹洞宗は教団としても日本最大の宗派であります。

とても格式を重んじるところだという印象が強いものですから、私のイス坐禅に参加されるというのにも驚いたものです。

厳格な坐禅の修行を重ねてきた方には、私のイス坐禅などはお遊びのように思われるかと心配しましたが、とても喜んでくださいました。

そのお礼状と共に、映画のDVDを送ってくださったのでした。

いただいたからには拝見しなければと思うのですが、DVDを見るということもありませんので、どのようにしたら見られるのかも分からずでした。

いろいろお若い方のご助言もいただいて拝見させてもらいました。

富田克也という方が監督であります。

この映画は二人のお坊さんが中心となって展開してゆきます。

お一人は智賢というお坊さんで、お名前の通り聡明な方です。

お寺のお生まれで永平寺で修行され、ご自身のお寺に戻られています。

ご結婚もされて、小さなお子様もいらっしゃいます。

その子が重度の食物アレルギーを抱えているのであります。

永平寺での修行の経験を生かして精進料理教室もなさっているという青年僧であります。

もう一人のお坊さんは隆行という和尚さんです。

福島県沿岸部にあったかつての寺は東日本大震災で流されてしまったのでした。

現在は一人で仮設住宅に住んで、瓦礫撤去の作業員として働きながら、本堂の再建を諦めきれずにいる姿が描かれていました。

智賢さんも隆行さんも俳優さんではなく、ほんとのお坊さんであります。

智賢さんの奥様もお子さんも実際の奥様とお子さんが出演されているのです。

そしてこの映画には青山俊董老師がご出演なされていて、智賢さんに仏道のなんたるかを示されているのです。

青山老師のお言葉のひとつひとつが重く深いものであります。

映画が公開されて六年も経ってから拝見するのですから、なんとも申し訳のないことです。

こういう映画を和尚様が作られたというのは、どれほどのご苦労があったことか、察するにあまりあります。

伝統を重んじる世界ですので、批判もあったろうかと思います。

単に永平寺の修行を前面に出しているのではありません。

現代に生きる仏教とはを問うています。

いのちの電話もこの映画に出ています。

いのちの問題に真摯に向かい合おうとする青年僧のお姿が描かれています。

私は映画のことについては全くの素人でなにも分かりませんが、二つが印象に残りました。

ひとつは、智賢さんがはだしで大地を歩くことを大切にされていることです。

そして最後の方に、作業員として仮設住宅に住む隆行さんが、狭いお部屋で正座してスーパーのお弁当に丁寧に合掌して五観の偈を唱えているところでありました。

終わりの方で青山老師が、力強く「さすがにこの歳になりますとね、遺言と思って聞いてくだされってね。人数は問わない。一人でもいい、本物に立ち上がって欲しい。お釈迦さまひとりから始まった仏法じゃないか。できる出来ないは問わない。私からやりましょう、そう思ってます」と語っておられたお言葉は心に響きました。

倉島和尚さんや智賢さんのような方がいらっしゃれば、まだまだ日本の仏教もだいじょうぶと思ったのであります。

 
横田南嶺

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