PIVOT収録
PIVOTというのは、チャンネル登録者がただいま三百万人を超えている人気のYouTubeチャンネルであります。
現代の様々な問題を取り上げています。
ただいまイス坐禅の本を制作中で、その課程でご縁をいただいて、取材を頼まれたのでした。
私の相手をしてくださったのは、元NHKアナウンサーの田中泉さんでした。
とても聡明な方であります。
さすがプロのアナウンサーだと感じいるほど、見事に話を進めてくださいました。
はじめに「横田さんは、この度『心とからだを調えるイス坐禅』をご出版されました。今日は、この『イス坐禅』をテーマに、多忙な現代のビジネスパーソンにとって『禅』、特に『イス坐禅』が、なぜ今必要なのか、そして、どのように日常に取り入れていけるのか、じっくりとお話を伺っていきたいと思います。」
という紹介がなされました。
そのあと大きく三つに分けて話を進めました。
なぜイス坐禅を勧めるようになったのか。
なぜ今、ビジネスパーソンに坐禅が必要なのか
そして三番目にイス坐禅の実習であります。
なぜイス坐禅を勧めるようになったのかについては、今までにもこうして語ってきているところです。
そもそもとある企業の社長と話をしていて、その方が若い頃はよく坐禅をしたけれども、もう七十を超えて膝が悪いので足が組めない、イスではだめなのかと聞かれたのでした。
それがきっかけで、イスでどうしたら坐禅になるのかを研究するようになったのでした。
それから私がどうして坐禅をするようになったのかについても聞かれました。
お寺の生まれでないこと、それなのに小学生の頃から坐禅を始めたことを申し上げると、とても興味を持たれて、どうしてですかと聞かれました。
しかしさすがプロだなと思ったのは、そのように少し話が本題から反れかけたのですが、それ以上に深追いすることなく、すぐにもとに話を戻してくださいました。
「変化が激しく、情報過多な現代において、ビジネスパーソンは多くのストレスやプレッシャーに晒されています。
横田さんの目から見て、現代人の心の状態はどのように映っていますか」と聞かれました。
このように聞かれましても、私が現代人の心はどうこうと評論するようなことはできません。
私もまた現代人の一人であります。
情報過多の時代の中で、慌ただしく毎日を送っています。
それでもやはり坐禅をして常に身心を調えておくことは大事だと思っています。
マインドフルネスとの相違についても聞かれました。
マインドフルネスというのも、仏教や禅の教えがもとになっているとうかがっていますので、共通点も多いのです。
今ここに意識を向けるというのは禅の修行そのものでもあります。
しかし、決して今ここだけで生きられるわけでもないのがお互いであります。
感情の波にもまれることなく、正しくものごとを判断してゆくことが大事であります。
過去の経験も生かしながら、未来への展望もしながら、今どのように行動したらいいかを判断してゆくことが大切だというようにお伝えしました。
いろいろの話をしながら、最後にはイス坐禅を実習しました。
建長寺のイス坐禅の時にはゆっくり時間をかけてできましたが、今回は時間が更に限られていますので、ざっと基本となる体操を行ってゆきました。
いつもの
一、首と肩の調整
二、足の裏、足で踏む感覚
三、呼吸筋を調整
四、腰を立てる
の四つです。
肩の調整では、手を天井に向けて八の字を書く運動と、肩まわしくらいにしておきました。
巻き肩にならないようにしました。
それから首の調整は、ゆっくりと呼吸に合わせて、左右に向いたり、左右に傾けたり、前後に傾けました。
ゆっくり呼吸に合わせて行っていると、それだけで心が落ち着いてくるものです。
首と肩だけでもかなり体は調います。
それから足の裏を刺激しました。
あらかじめズボンをはいてきてもらっていましたので、足首まわし、足の裏を指で押し、そして足の裏を拳で叩いて刺激しました。
そうして足を床に下ろすと、しっかり足の裏を感じて坐ることができます。
田中さんはとても歓びながら足の裏が感じますと言ってくれました。
上手に相づちを打ってくださるので、話が進めやすかったのでした。
それから肺を上下左右、前後に広げる運動をしました。
これでとても呼吸がしやすくなったと喜んでもらえました。
なかなか呼吸を見つめましょうと言われても意識しにくいものです。
少し運動を加えると意識することができるようになります。
そして呼吸が心地よくなるのです。
そうして腰を立てる運動をしてイス坐禅となりました。
ほんの数分の坐禅でしたが喜んでくださいました。
昔、臨済禅師が十字街頭で世間に迎合するこなく、またそむくこともしないとおっしゃっていますが、まさに都心で現代のまっただ中でイス坐禅をさせてもらいました。
新幹線などの移動中もイス坐禅で体が楽になりますと伝えました。
体から変わるということをお伝えしたのでした。
イス坐禅の本が出来、そしてPIVOTでの公開が楽しみであります。
横田南嶺