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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.04.13
今日の言葉

足の裏の不思議

先日西園美彌先生にお越しいただいて、魔女トレの講習を行ってもらいました。

この四月に新しく入った修行僧もいるので、初歩から講座を行ってもらうようにお願いしておきました。

また今回は、西園先生に是非教わってみたいという、近在の寺の和尚や、私の知人なども参加されましたので、初めて習う人が多くなっていました。

まず控え室で、ご挨拶をして、それから私はこの春入ったばかりの修行僧のことで相談しました。

新しい修行僧たちと一緒に体をほぐす体操をしていて、とても体の堅い修行僧がいます。

足の裏の土踏まずなどは、コチコチに堅くなっています。

ふくらはぎも堅いのです。

正座も、それから正座からつま先を立てるのもとてもきついというのです。

股関節もとても堅いのです。

なかなか、この状態で坐禅してもかなり苦痛だと察します。

どうしてあげたらいいのか、私も考えていたのでした。

そこで西園先生ならどのようにご覧になるのかうかがってみようと思いました。

どこあたりに原因があってどのようにしてゆくといいのか、本人を紹介して見てもらいました。

西園先生は、しばし、じっとその修行僧の体を見つめていました。

そしてひとこと「肩ですね」とおっしゃいました。

私は「ええ、肩ですか?」と不思議に思いました。

足の裏、ふくらはぎ、股関節について尋ねているのに、肩だというのです。

そこで、その場で肩の位置を整えるようにしてくれました。

ほんのわずかの時間で、その修行僧の足が変わりました。

体は連動しているというのは、私も理解しているつもりでありますが、これには全く驚きました。

まさに目の前で、わずかのうちに体が変わってゆくのですから、これぞ「魔女」の「魔女」と呼ばれる由縁だと思いました。

それと同時に吾が身を深く反省しました。

もっと私自身が体について深く学んでいれば、この修行僧に対しても、的確な指導ができたのにと反省したのであります。

指導者の力不足、これに尽きます。

この修行僧は、このあとの三時間の講座で更に体は大きく変わってゆきました。

私などの指導では、こういう場合、体はそういっぺんに変わるものではないので、毎日毎日地道に坐禅をしていって、少々の痛みは耐えてもらって、一年ないし二年くらい毎日坐っているとだんだん変わってくるというやり方であります。

しかし、体をよく学んで上手に指導すれば、もっとよく坐れるようになるのであります。

たとえば足の小指の位置ひとつで体の全体が変わるのです。

これは以前にも習ったことであります。

一人の者が、もう一人の相手を背中におんぶします。

おんぶしてスクワットをします。

かなり重いものです。

そこで、足の小指は内側に寝ていることが多いのですが、それを外向きに、本来のあるべき方向、足の指の腱の方向にしてみると、全然軽々とスクワットができるようになるのです。

ももうらからお尻までを使うことができるようになるのです。

体の全体が繋がるといってもいいでしょう。

このようにわずかの違いで一瞬に変わることがあるものです。

西園先生の著書『魔女トレ 足元にある、動きの「素」』には次のように書かれています。

「小指を正しい位置に置くことで股関節の可動性が増し、腰を上げる動作も「膝を伸ばす」 感覚から「足裏で地面を押す」感覚に変わります。

お尻の奥から腿裏の筋肉が使われるようになります。

いくらトレーニングしてもなかなか股関節が使えない、お尻が利かないという人は小指の使い方を正すことをおすすめします。」

というのであります。

この感覚の違いは、背負ってもらっている側も感じることができます。

そんな不思議を体験していつもの講座が始まりました。

お尻でボールに乗って左右に揺らす運動は、いいものです。

これを行ってみると、座骨がはっきりします。

坐っても座骨で坐っていることがよく感じられるのです。

それから私たちはいかに足の指に鈍感であるかも体験しました。

ふたり一組になって片方の人は、立って目を閉じています。

もう片方の人は、その人の足の指にそっと触れます。

触れられた方は、目を閉じたまま、どの指に触れられたかを答えます。

これが簡単なようで、できないものです。

薬指に触れられているのに、中指と答えたりしてしまいます。

私は幸い、最近よくこの訓練をするようにしていますので、できましたが、私が指を触れてあげた相手の修行僧は少し間違っていました。

これほどに鈍くなってしまっているのです。

足の裏は、いつも不思議に思います。

足と手で握手をするようにします。

なかなか手の指が足の指の間に入りにくい人もいます。

すっと入らない場合もあります。

しばらく、足と手で合掌しているのです。

左の足の裏と右の手を、合掌するようにただ合わせるのです。

そうして西園先生がどう感じますと聞かれます。

多くの場合は、足の感覚より手の感覚の方が優位ですので、手が足を冷たく感じるのです。

冷たいという感覚があります。

そのときに西園先生は近くにいた修行僧にどう感じるか聞かれました。

その修行僧ははじめに西園先生にご紹介した体の堅い修行僧でした。

するとひとこと「あたたかいです」と答えていました。

これには西園先生の驚いた様子で、聞いていた私も驚きました。

この修行僧は体の使い方が分かっていないだけで、とてもよい感性を持っているのだと思いました。

足の裏で感じる力があるのです。

私などは、はじめの頃はただ手で足を冷たいと感じるだけで、なかなか足で手を暖かいと感じることは難しかったのでした。

この頃は、足の感覚で感じることができるようになりました。

足で手が温かいなと感じていると、それだけで全身がほぐれてゆく感覚があります。

そこで西園先生の言葉が響いてきます。

手の温かさが、足の裏から足首アキレス腱まで届いてゆきます。

西園先生のお声に随って、じわっと暖かさが、足の裏から足の内部に浸透してゆくのです。

更にふくらはぎから膝のあたりまでしみこんでゆきます。

そしてふとももから丹田まで伝わってゆくのです。

丹田まで暖かさが伝わってゆくと、丹田と足の裏とが繋がるのです。

西園先生のご指導に随って感じていると、丹田まで繋がったという感じがするのです。

そこで西園先生は、足の裏と手の平の境目がなくなりますとおっしゃいます。

手の平と足の裏とが溶け合っているようになります。

こうしていると全身とても心地よくなります。

そのあと、もう一度手と足を握手するようにしますと、スッと足の指の間に手の指が入るのです。

これもあたかも魔法にかかったような感じなのです。

足が柔らかくなると全身が変わります。

そうして足首を回すこと、足の指を回すこと、足の指と指とを広げること、などのいつものワークを順を追って丁寧に行ってゆきました。

終わりの方で、最近教わった大腰筋を伸ばす運動をしました。

これは前回教わってから折りにふれで自分でも行ってきました。

もう一度おさらいができてより一層大腰筋を伸ばすことができるようになりました。

三時間があっという間に終わりました。

はじめは床に立っていてもただ畳の上に立つだけの感覚だったのが、足の裏から根が生えて畳の奥底まで届いているような感じがします。

立っているだけでとても安定しているので心地よいのです。

はじめに体が堅いと思っていた修行僧も肩の位置もおさまっていて、なにより表情がほころんでいました。

自分自身の変化も楽しいものですが、こういう周りの人の変化やよろこびの表情に接するのもうれしいものです。

西園先生の指導力にはとても及ぶものではありませんが、少しでも近づけるようにまだまだ研鑽を積まねばと思ったのでした。

 
横田南嶺

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