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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.04.07
今日の言葉

新年度の第一歩

四月一日、新年度の第一の仕事は、花園大学の入学式となりました。

新年度の始まりということで、例年十時から始まるところを十一時からとなりました。

朝早く鎌倉を出て新幹線で京都に向かいました。

新幹線の車中では、イス坐禅を行います。

腰を立てて坐ることが一番の安楽であることを体も憶えてくれていますので、無理なく行うことができて、京都駅におりてからも、足取りも軽やかになります。

山陰線に乗り換えて、円町で下車します。

京都から円町まではわずか八分であります。

山陰線のホームで待っていると、大学の入学式に出席なされる学生さんにお声をかけていただきました。

先だっての卒業式で仏教学部を代表して学位記を受け取られていた方ですので、すぐに分かりました。

また大学の摂心などでもお目にかかっています。

先日卒業されたのに、また入学式にお出になるということは、大学院にお入り下さったのです。

有り難いことであります。

電車が来るまでしばしホームで立ち話をして、それから車内でも八分ですが、お話させてもらいました。

そして円町から大学までも歩きながらお話させてもらいました。

京都市内にお住まいの方でありました。

とても熱心に仏教学を学んでくれていて、お話をして私もうれしくなりました。

大学は今どこもそうなのですが、厳しい状況にあると思います。

そんな中でも、こういう熱心に仏教を学んでくれる学生がいてくれると、大学をやっていてよかったとしみじみと感じます。

新年度の第一歩に、このような熱心な学生にご縁ができて、有り難くうれしくなりました。

式典の一時間ほどの前に大学について、総長室で控えていると、花園学園の理事長、学園長、そして大学の学長、同窓会の会長など、お歴々が集まって下さいます。

それぞれご挨拶をしながらしばし歓談しています。

するとドンドン太鼓の鳴る音が聞こえてきます。

そうなのです、大学の入学式も卒業式も太鼓の合図で始まるのです。

お寺の儀式同様に始まります。

皆がそろって、式場に入ります。

定刻の合図とともに、カーテンがすーっと上がって、皆さんのお姿が見えるようになります。

まずはじめには、総長である私が、皆さんを代表してご本尊の前で焼香し三回五体当地の礼拝をします。

これも毎回のことなので、すっかり慣れています。

その間に三帰依文が唱えられています。

それが終わると全員着席であります。

そして各学部の新入生の紹介があります。

大学院の方に注目していると、つい先ほどまでお話させてもらった方も見えていました。

それから学長の式辞が始まります。

いつもながら学長の式辞はとても丁寧なものであります。

あらかじめお話になる原稿を皆さんに配ってくれていますので、行き届いています。

学長は、はじめに、

「みなさんは、COVID.19 のパンデミック、気候変動、ロシアによるウクライナ侵略、ガザ地区におけるイスラエルとハマスの衝突など、人類が危機に直面する大変な時代に高校生活を送られました。

その間、いろいろなご苦労があったことと思います。

それらを乗り越え、この花園大学のキャンパスに立たれたことは素晴らしいことです。

みなさんの努力に対し、心から敬意を表します。」

と語りかけてくださっていました。

学生さんたちを思いやる心が伝わります。

そこから三つのことを新入生にお願いをされていました。

「第一に、歴史の縦軸と比較対象の横軸について考えていただきたい」ということです。

「過去を学び、過去から現在を見つめ、未来を展望すること」を説かれていました。

「文学部の学生諸君が鎌倉時代を学ぶのも、源氏物語に没頭するのも、それらの時代が好きだとか、その文学が素晴らしいということなのだと思いますが、それらの学びは、常に現在に生き、未来を考えるために必要な学びなのです」というのです。

歴史の縦軸の中で今の自分を考えるのです。

それから「次に、比較対象の横軸とは、他者や他地域との比較です。自分自身と他者との比較、自分の学校と他の学校との比較、自分の地域と他の地域との比較、自分の国と他の国との比較、さらには、アジアとイスラム、あるいはアフリカとの比較などなどです。」

と説いてくださっていました。

「日本にとって重要な地域は、東アジア、東南アジアです。

私たちは、アジアの中で生活しており、特に、韓国、中国、台湾の人々と交流しながら生きています」と話を展開して、台湾との交流について述べていました。

「大学ではこの歴史の縦軸と比較対象の横軸を使いながら学んでいくことになります。この二つの軸をうまく使ってください」と語ってくれていました。

次には「第二に、困ったことがあり思い悩むときは、周囲の人と対話を重ねてください。」ということでした。

そして

「第三に、「分かち合い」を大切にしてください」ということです。

財政学者の神野直彦先生の言葉を引用されていました。

「どのような人間も社会にとって掛け替えのない存在であり、どのような人間でも相互にその存在を必要としているということを確認すること」です。

この三つを伝えられた最後に、「「書くこと」を一生涯学び続けていただきたい」と話しておられました。

書くことは、思考をまとめることになり、ふりかえり(省察)を行うことになり、企画し実行し評価し再度挑戦することになるということです。

そのあとが私の祝辞であります。

私はおめでとうございますとお祝いを述べてまず二つことをお願いしました。

第一は今の気持ちを忘れないでくださいということです。

「これから大学で学ぶんだという意欲、大学生活でどんなことが起きるだろうかというワクワクした気持ち、この気持ちを忘れないでほしいと願います。」と伝えました。

それから次に、この入学式などの式典では、何度も「起立」という号令と共に学生さんたちは立ち上がります。

そのことに触れて、「起立」と言われて、なんのためらいもなくすっと立ち上がる気持ちを大事にしてくださいと申し上げました。

そこから「本学の建学の精神は「禅的仏教精神による人格の陶冶」です。

その目的は臨済宗の宗祖である臨済禅師が「随処に主と作れば、立処皆な真なり」と言われるように、どの様な状況であっても主体的に行動できる、自立性・自律性を養成することです。

主体性を持つということは、この二本の足で地面を踏みしめて立ち上がるところから始まります。

これから学ぼうという気持ち、常に立ち上がる気持ちを忘れずにいてほしいと願います。」と伝えました。

これが起承転結の起と承であります。

起承転結の転では大きく話を一変させてました。

「ところが、残念ながら、長く学生生活を送るうちには、今の新鮮な気持ちは薄らいでゆきます。

立ち上がるのがおっくうになってきます。

いやひょっとしたら、立ち上がろうにも立ち上がる気力がなくなるようなときもあるかもしれません。これもまた人生です。」

とガラッと話を転じました。

そして起承転結の結として、

「そんなときには、一人で悩まずに、いろんな人の力をお借りしてください。支えになってもらってください。自立性といいますが、これは誰の世話にもならず一人生きることではありません。多くの人の力をいただきながら、そのおかげに感謝して生きることであります。」

と結びました。

それから最後に、

「自分が安心して自分のままでいられる時間と場所を確保してください。人が生きるには多くの人の力や支えと、その時間と場所が必要です。

自分が自分のままで安心していられる時間と場所を大事にしてください。

その自分が安心していられる時間と場所を提供してくれるのが、実は坐禅です。

坐禅はこのありのままの自分をそのまま受け入れる時間と場所を与えてくれるものです。

禅の教えは、文学や歴史、福祉、心理、どんな学問をなさろうとも、皆さんにきっと大きな力を与えてくれるものと信じています。」

と申し上げて祝辞を終えました。

若者達に幸多からんことを祈る新年度であります。

 
横田南嶺

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