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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.03.11
今日の言葉

三月十一日

本日は三月十一日です。

昨日は三月十日で、東京大空襲の日でありました。

そして今日が東日本大震災の日であります。

あれからもう十四年が経ちます。

震災が機縁になって、鎌倉では鶴岡八幡宮を中心とする神官方や、キリスト教会の神父牧師の方々、そして仏教の各宗派寺院の僧侶達が一堂に集まって、鎌倉の宗教者が祈りを捧げるようになりました。

思えば震災の年の四月十一日に八幡宮で祈りを捧げたのが始まりでした。

「追善供養復興祈願祭」として行いました。

その時には八幡宮の舞殿で祈りを捧げた後、皆で海まで托鉢をして歩いたのでした。
海辺でもお経をあげたことを覚えています。

それから神道では鶴岡八幡宮で、キリスト教では雪の下のカトリック教会で、そして仏教は建長寺高徳院円覚寺など持ち回りで行ってきました。

神道、仏教、キリスト教の順番で持ち回りで開催してきました。

三月十一日は寒い日でありました。

実際に東北ではもっと寒かったろうと察します。

今年は、鶴岡八幡宮で開催します。

いつも舞殿に上がって法要を勤めていると、風が強いのを感じるのであります。

あの震災までは、同じ鎌倉市内にあっても、宗教者同士が宗教を越えてお互いに会うことはありませんでした。

同じ仏教であっても、宗派が違うと会って話すことはありませんでした。

そんな状況でありましたが、震災を機に鎌倉の宗教者達はひとつになって集まったのです。

こういうことは余所ではあまり見られないかと存じます。宗教の町でもある鎌倉ならではでありましょう。

幸いにも鎌倉の町は八幡様を中心に成り立っています。

それで、我々宗教者にとっても八幡様を中心に集まろうということは自然なのです。

それにしても、これは特に鶴岡八幡宮の吉田茂穂宮司のお心によるものが大きいものでありました。

大震災のちょうど一年前の三月十日、八幡宮の大銀杏が倒れたということがありました。

吉田宮司は、このことが宗教者の祈りが始まる一番のきっかけであったと私に話をしてくれたことを思い起こします。
 
八幡宮の大銀杏と言えば、樹齢千年とも言われ、単に八幡様のみならず、鎌倉の象徴と言ってもいいくらいのご神木でありました。

かの源実朝暗殺の事件にも出てくる銀杏であります。

そんな大木が震災の一年前三月十日に倒れたのでした。

宮司さんのご心痛はいかばかりであったか察するに余りあります。

そんなどうしようもない、茫然自失とする中で、鎌倉市内にある寺院の若い和尚さん方が集まって、倒れた大銀杏にお経をあげにきてくれたらしいのです。

このことが「本当に有り難かった」と宮司さんは、かつて私に語られました。

考えてみれば、いくらお経をあげても、もはや倒れた木は蘇りません。

また神社でお坊さんがお経を読んで何になるかとお思いになるかもしれません。

しかし、若い僧侶達が、「何か大銀杏の為にできることはないか」と集まって祈ってくれた、その心が有り難かったのでありましょう。

それからも、実に全国大勢の方々から宮司さんは励ましをいただいたと仰っていました。

倒れた木は仕方ないものの、多くの方々のおかげで力をいただいたと宮司さんは語ってくれていたことを思い起こします。

そのちょうど一年後に東日本大震災が起こりました。

そこで宮司さんはご自身が大勢の方々から力をいただいたので、今度は自分が何かお役に立ちたいという思いで、率先して被災地の支援に尽して来られたのでした。

そんな宮司さんのお心から、私達鎌倉市内の宗教者がひとつになって集まり祈ることになったのです。

日本は過去を振り返れば、自然災害の絶えない国であります。

地震、津波、火山の噴火、台風に水害と、何の災害もない年というのはありはしないと思われるほどであります。

実際に東日本大震災のあとも幾たびもの地震や洪水、など自然災害に見舞われてきました。

昨年の正月の能登の大地震、そして雨の被害は忘れられません。

大自然の前に人は無力であります。

そんな中で、人は心をひとつにして祈り、支え合い、悲しみを乗り越えてきました。

人は一人では生きられません。

弱い人間がお互いに力を合わせて、人類の文明は発展してきています。

一人ではとても乗り越え切れない悲しみもあります。

そんな時に、お互いに支え合い、思い合い、祈ることによって、お互いのつながりを感じ取ることができます。

そのつながりの中で生きる力を得ることができます。

そこから明日への希望もわいてきます。

幸いにも鶴岡八幡宮の大銀杏は、新しいひこばえが今大きく育っています。

八幡様にお参りするたびに、大きく育っているひこばえを見るのが楽しみであります。

何百年かの後には大木の姿が見られるでしょう。

私などもあの震災を機に、人さまの前で拙いながらもお話させてもらうようになりました。

延命十句観音経を書いて唱えてお祈りするようにもなったのでした。

それが本の出版の始まりにもなりました。

岩手県で被災した時はまだ小学生だった子が、今や大学を出て円覚寺の修行道場に来てもう三年が経っています。

いろんな思いを懐いて力強く歩んでいると感じます。

本日の午後2時46分の震災の時刻に合わせて、鶴岡八幡宮で祈りを捧げます。

今回は仏教会の法要は私が道師を務めさせてもらうことになっています。

大震災過ぎて十四年
殃難幾たびか襲う、日東の辺
諸宗教者集いて祈祷したてまつる
国土清平にして民晏然ならんことを

という偈を唱えようと用意しています。

心込めておつとめしようと思っています。

 
横田南嶺

三月十一日

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