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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.03.03
今日の言葉

ハワイでイス坐禅

マウイ島滞在の三日目の朝も早く起きていました。

三時起床は何十年来の習慣であります。

五体投地の礼拝を百八回行い、真向法をして坐禅をするのは、どこに行っても同じであります。

夜明け前の夜空を仰ぐと、星がきれいなことに感動します。

街灯がないので、漆黒の闇ですから、星が一層輝いて見えます。

海のすぐそばのお寺なので、波の音は絶えることはありません。

朝早くから鷄が鳴いています。

野原で生息している鷄です。

あちらこちらに鷄が歩いているのが目につきます。

自然の中で育っているのでしょう。

このマウイには蛇がいないと聴きました。

あまり天敵もいないのだろうかと思いました。

この日は一日いろんなことをしますので、自由な時間は朝だけであります。

日が明ける頃に、砂浜に出かけました。

まだ誰もいない砂浜に、大きな亀が四匹も休んでいました。

ゆったりとしています。

しばし、素足になって砂浜を走っていました。

子供になったように波打ち際で、波に追いかけられたりして楽しんでいました。

つかの間のお休みであります。

その日は午前中にイス坐禅と法話が行われました。

イス坐禅についてはもう日本で十分に行っていますので、いつもの通りに、

一、首と肩の調整

二、足の裏、足で踏む感覚

三、呼吸筋を調整

四、腰を立てる

と順を追って行いました。

まずはじめに、坐禅というと脚の痛いのを我慢して坐ると思われるようですが、足の痛みに耐えて我慢するのが坐禅ではありません。

体を調えて、本来の素晴らしい心に目覚めるためのものです。

ですから苦痛のない坐禅をします。

いろんな体操をしますが、痛いと感じることはやめてください、自分で心地よいと感じるところでやってくださいと伝えました。

ハワイの方はとても明るいので、元気よく楽しく肩の運動から始めました。

通訳は羽賀浩泉さんが行ってくれていました。

日本で使っているようなタオルはないというので、お寺にある日本手ぬぐいを用いて体操をしました。

これでも十分に肩を動かすことができます。

首も伸ばして、首が長くなったように感じるようにしました。

それから足の裏であります。

足首を回し、足の指を一本一本丁寧に回して、手の親指で足の裏を押してと、足の裏を調えてゆきました。

右足をはじめに行っておいて、両足を見比べると、右足の色が変わっていることに皆驚いていました。

血流がよくなるので、きれいな色に変わっているのです。

そうしますと、左の足もやって欲しいという声が聞こえますと伝えました。

やって欲しいという声を聴いてあげましょうと、左足も行いました。

最後に手の指で足の裏を押すときには、いつも地面を踏みしめてくれて有り難うという感謝の気持ちを込めて行いましょうと伝えました。

それからいつもの呼吸筋の調整であります。

これも丁寧に行うと肺が大きく広がったように感じられます。

そして最後に仙骨と腰椎五番の説明をして腰を立てるようにしました。

一時間のイス坐禅ですが、五十分体をほぐして、十分坐りました。

皆さんがとてもよい姿勢になっているのを感じました。

そして終わったあとには皆さんの表情がとても明るくなっていると感じました。

とても満足していただいたようで、有り難い感想をたくさんの方からいただきました。

ハワイの方にもイス坐禅は通じるのだと感動しました。

もっとも同じ人間で同じ骨格なので、通じ合えるはずなのです。

それから十分ほど休憩して法話を行いました。

あらかじめ法話の原稿を用意しておいて、羽賀浩泉さんに英語訳してもらって、少しずつ読んでは翻訳してもらうというようにしました。

そうはいってもサービスなので、初めのすこしだけ私が片言の英語で話しました。

そうしてお昼はみなさんと一緒にいただきました。

皆さんがお料理を持ち寄っていただくのであります。

とてもおいしいお料理でした。

タロイモの根の部分から作るペースト状のポイという品がありました。

かつて初期のハワイ入植者にとっては主食だったというのです。

歴史を感じながらいただきました。

私のイス坐禅と法話にもラハイナの浄土院の原源照様がお越しくださっていました。

午後からは一昨年の火災で燃えてしまったラハイナの浄土院を訪ねました。

浄土院は、浄土宗のお寺であります。

ラハイナの美しい海岸のすぐそばにあります。

本堂に三重塔、そして鐘楼に大仏があるという大きなお寺だったそうなのです。

それが火災で全て燃えてしまいました。

大仏様だけが残っています。

ここが鐘楼のあと、ここが三重塔のあと、ここが本堂のあとと説明してもらって、大仏様の前でお経をあげました。

お亡くなりになった方々にも御回向させてもらいました。

ラハイナの日差しは強く、とても暑かったのですが、原和尚様をはじめ檀家の方々が集まってくださいました。

お茶のご接待をいただいて、なんと有り難いことにギターの伴奏でラハイナの歌を披露してくださいました。

こんなおもてなしには感激しました。

はじめに原和尚様が作詞したという「木魚の唄」を歌ってくれました。

この歌詞が素晴らしいのです。

一部を紹介します。

 木魚の唄
ポクポクポク
木魚を打つと
ひびきます
目をあけなさい 醒めなさい!
ナムアミダ ナムアミダ
ポクポクポク
目をあけなさい 醒めなさい!
うまれてきてありがとう
生かされていてありがとう
みのりにあえて ありがとう
ナムアミダ ナムアミダ

と続くのであります。

この「うまれてきてありがとう
生かされていてありがとう
みのりにあえて ありがとう」

という歌詞が、私がいつも法話の前にしている、生まれたことの不思議、今日まで生きてこられたことの不思議、今日ここでお互いにめぐり合えた不思議に手を合わせましょうというのに通じています。

それから浄土門主の岸信宏猊下の歌、

ラハイナの 浜辺に立てばあかねさし
 陽は沈みゆく 島の彼方へ

というご詠歌も詠ってくれました。

この歌の通りの景色なのであります。

そして原和尚様とご一緒にラハイナで夕食をいただきました。

原和尚様は、昭和十一年のお生まれですので、今年八十九歳になられます。

とてもお元気で、穏やかで謙虚な方でいらっしゃいます。

二八歳の頃に横浜から船でハワイに来られたのでした。

どれくらいかかったのですかと聴くと、九日間かかりましたとおっしゃいました。

その船の旅でハワイに開教にゆくという決意が決まったのだと仰せになっていました。

またこの時間がかかるのが、ハワイに行くという実感になるのだともおっしゃっていました。

たしかに飛行機に乗って数時間で行くのと訳が違います。

数年で帰ろうとされていたらしいのですが、お寺が火災に遭って再興するために残られたのでした。

そして今回また火災であります。

有り難いことにご本尊は寺に住んでいた尼僧さんが、全身やけどを負いながら命がけで救い出してくれたのだそうです。

これから復興に向けて取り組んでおられる姿勢には心打たれました。

被災地にお見舞いと思ってゆきましたが、こちらが元気をいただきました。

ラハイナ浄土院の復興をお祈りしています。

 
横田南嶺

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