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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.12.30
今日の言葉

神も仏も

今年一年を振り返ってみると、なんといっても真っ先に思い起こしますのは、能登の大地震であります。

一月一日のことでした。

いろいろと考えさせられることでした。

まず地震の予知はできないのだということでした。

誰も元旦にあのような大地震が来るとは予想もできませんでした。

更に同じところが九月に豪雨の被害に遭ったのでした。

私の知り合いの和尚も石川県の珠洲市でありますから大きな被害を受けられました。

吉祥寺の山田真隆和尚さまであります。

臨済宗の布教師として御活躍であり、かつて紹介したことのある「禅人」を立ち上げた中心の方であります。

とてもよく勉強しておられ、「禅人」でも読み応えのある記事を書いてくれています。

なかなか直接連絡するのも憚られ、人づてにどのようにしておられるのかをうかがっていました。

このたび浜松の東福寺様での法話会で御法話をなされているのを動画で拝聴することができました。

東福寺様には私も何度か法話をさせてもらっています。

二年前の十月に東福寺様での法話をライブで配信させてもらったこともあります。

この時の法話が、私の今までの法話の中でも特に好評で、なんと今までに五万回も再生されているのであります。

これはひとえに東福寺の和尚様が一所懸命に宣伝告知をしてくださったおかげであります。

今年の十月二十六日に東福寺様で法話会が行われて、その動画がこのたび拝聴できるようになりました。

それが山田真隆和尚さまの法話であります。

私も早速拝見いたしました。

お変わりないお姿にはまず安堵しました。

いつものように熱心に語ってくれていましたので、ホッとしました。

しかしながら、生まれ育ったお寺が被災されたこと、ふるさとの町が大きな被害を受けたことにどれほどお心を痛められているのか察するにあまりあるのであります。

東日本大震災の年の秋には、私のふるさとが紀伊半島豪雨で大きな被害がありました。

ふるさとが被災することは実に悲しいものでありました。

しかしながら十年ほどかけてほぼ復興できています。

能登の方はどうなるのでしょうか。

山田和尚は法話の中で、まだ明るい話題がないと仰っていました。

山田和尚のお寺はほぼ震源地にあるということです。

大きな本堂らしいのですが、倒壊は免れたものの全壊だそうです。

今も大きく傾いたままというのです。

なかなかこれを直すのは至難の技だと言っていました。

庫裏も大きな被害にあい、雨漏りがたいへんだそうです。

なんとか直さなければと思ってきたそうなのですが、復旧はすすまずじまいだそうです。

ほとんど十ヶ月なにも出来ないままと仰っていました。

工事がなにもできないまま、雪が降る前にせめてブルーシートを敷いたそうです。

工事の価格は高騰して大きな出費だそうです。

山田和尚は、能登の神社仏閣でも建て直すのは難しいところも多いのではないかと仰っていました。

法話は十月でしたので、「十ヶ月ほとんど何もできてない」という言葉には胸が痛みました。

なかでも神社がたいへんな状況だというのです。

お正月に被災したのでした。

お正月というと、神社は一番華やかな初詣の飾り付けをしています。

そのお正月の飾り付けのまま、それすら片付けることもできずに何ヶ月もそのままだそうです。

山田和尚が「神も仏もないと思っても仕方ない」と仰っていました。

「神も仏もない」なんて罰当たりなことと思われるかもしれません。

しかしそういう言葉も口に出てくるのが人間であります。

初詣の飾り付けを片付けるどころか、自分が今日生きる、明日を生きるので精一杯なのだというのです。

それから、いまだに断水だというのも驚きました。

水が使えたのは一週間か十日ほどのみだそうです。

水がないと洗濯もお風呂も入れません。

それから困るのはおトイレです。

なんと山田和尚のお寺では、水道が通ったのは二〇一四年だそうです。

十年前にようやく上水道が通っておトイレも水洗になったというのです。

その時に行政から今までのくみ取りを封鎖するように言われたのでした。

今こうして被災してみると、そのくみ取りのトイレを残していればどれほどたすかったかと仰っていました。

トイレが使えないとどうなるかというと、水を飲むのを我慢するようになります。

水をあまり飲まないと血栓ができやすくなります。

すると病気の原因になります。

普通の生活をしているよりも三割から四割の疾患につながる割合が高くなっているそうなのです。

深刻な問題であります。

そんな中でも山田和尚は、決して人間が腐ってはいけないと説いてくださっています。

いずれはやりようがでてくる時がくると信じていらっしゃいます。

時が解決すると信じているのだと仰っています。

それには、まず体も心も健全でなければならないというのです。

その心の健全を保つには仏教を学ぶことが一番いいと語ってくれています。

暗闇で明かりがつくように、心の明かりを灯すことが大事だというので、「自灯明」という話をしてくれています。

「ヘッドライト テールライトー自灯明とは」という題の御法話です。

山田和尚はこれを「自分に言い聞かせるために話すのだ」と仰っていました。

それだけに実に心に染み入るお話であります。

体験がもとになっている話は訴える力が違います。

是非とも皆様にもお聞きいただければと思います。

山田和尚の灯明が一層光ることをお祈りするのであります。

山田和尚のお寺は吉祥寺といいます。

吉祥とはめでたいよき兆しという意味です。

きっと吉祥が現れるようにと念じています。

神も仏も見守ってくれていると信じています。

 
横田南嶺

神も仏も

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