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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.12.27
今日の言葉

若獅子

致知若獅子の会というのがあります。

月刊誌『致知』を読んで学ぶ二十代から三十五歳までの若者が、人間いかに生きるべきか、人間学を学ぶ勉強会であります。

関西致知若獅子の会というのがあり、毎月一度有志三十名ほどが集まって勉強しているのであります。

その関西致知若獅子の会の世話人の方からお手紙をいただいたのは、今年の二月の頃でした。

手書きの丁寧なお手紙でありました。

その致知若獅子の会で講演してほしいという依頼でありました。

お心のこもったお手紙にこちらも感激して、なんとか行ってあげようと思い、日程を調整して、実に年末になってようやくお伺いすることができました。

山口の朴の森の講演から一度鎌倉に帰って明くる日また新大阪まで出かけたのでありました。

年末、文字通りの「師走」であります。

世話人の方からは十牛図について勉強したいというご要望で、資料を用意して臨みました。

私はてっきり、その若獅子の会で、二十代三十代の方々三十名ほどの集まりだと思って出かけたのでした。

実際には、今回は特別勉強会ということで、関西若獅子の会と大阪府社内木鶏経営者会との共同開催で、なんと実に大勢の方がお集まりくださっていて、驚いたのでした。

たまにこういうことがあるものです。

「若獅子の会からお招きで、若い獅子の集まりと思いきや、本日はずいぶん古い獅子もお集まりで恐縮しています」とご挨拶したのでありました。

全国社内木鶏会経営者会の会長もお見えになっていました。

それから驚いたのが、いつもお世話になっている白駒妃登美先生も最前列で聴講してくださっていました。

これはたいへんなところに来てしまったと思いましたものの、十牛図の講話でありますから、いつものように講演をしたのでした。

会の始まりには、世話人の方から、会の趣旨の説明がありました。

パワーポイントを使った丁寧なお話でした。

特にこの勉強会は『大学』の教えが基本になっているとお話くださっていました。

大学は、大人の学であります。

人の上に立ち、周りに影響を与えることのできる徳の高い人を大人と言います。

『大学』の三綱領と、八条目の説明がありました。

その時の解説では、三綱領は、

まずは「明明德」

明徳を明らかにすることで、「生まれながらに与えられた強みを発揮する」と解説してくれていました。

次は「親民」で、
「誰とも親しく交わり徳を発現するように導く」と解説されました。

「止至善」は

「最高の状態を維持するように努める」ことです。

そして三綱領を要約して、

「生まれ持った徳性を発揮し、多くの人にその人の良さを気付かせて、組織人を常に高みへ導く。」とわかりやすくまとめてくれていました。

八条目については「世の中を良くするプロセス」として、
まず「格物致知」

「実践を通じて生まれながらにもっている良心に従って生きれる人間になりましょう」ということです。

それから「誠意正心」

「誠実な言動を行い、素直な心になりましょう」ということです。

それから「修身」、

「自己修養に努めて徳の高い人物になりましょう」

「齊家」

「家族の手本となり正しい道を示していきましょう」

「治国」は「国を良い状態で収めていきましょう」

そして最後に「平天下」

「世界中を平和にしていきましょう」ということであります。

要約しますと、

「実践を通じて良心に従って行動することができる人間となり、誠実に仕事に取り組むことで心が磨かれていく。

この正しい判断の積み重ねで、家庭 組織 国 世界全体が良くなっていく。」

と解説してくれていました。

そうして皆で『大学』のはじめの部分を素読したのでした。

「大学の道は、明徳を明らかにするに在り。

民に親しむに在り。至善に止まるに在り。

止まるを知りて后定まる有り。

定まりて后能く静かなり。静かにして后能く安し。安くして后能く得。

物に本末有り。事に終始有り。

先後する所を知れば、則ち道に近し。

古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、先ず其の國を治む。

其の國を治めんと欲する者は、先ず其の家を齊う。

其の家を齊えんと欲する者は、先ず其の身を修む。

其の身を修めんと欲する者は、先ず其の心を正しうす。

其の心を正しうせんと欲する者は、先ず其の意(こころばせ)を誠にす。其の意を誠にせんと欲する者は、先ず其の知を致す。

知を致すは物を格すに在り。」

というものです。

岩波文庫の『大学・中庸』にある現代語訳を参照しましょう。

「大学で学問の総しあげとして学ぶべきことは、輝かしい徳を身につけてそれを〔世界にむけてさらに〕 輝かせることであり、〔そうした実践を通して〕 民衆が親しみ睦みあうようにすることであり、こうしていつも最高善の境地にふみ止まることである。

ふみ止まるべきところがはっきりわかってこそしっかり落ちつくということになり、しっかり落ちついてこそ〔ものごとに動揺しないで〕平静であることができ、平静であってこそ安らかになることができ、安らかであってこそものごとを正しく考えることができ、正しく考えてこそ[最高善に止まるという〕目標も達成できるのだ。

ものごとには根本と末端とがあり、また初めと終りとがある。

[そのことをわきまえて] 何を先にして何を後にすべきかということがわかるなら、それでほぼ正しい道を得たことになるのである。

古きよき時代に、輝かしい聖人の徳を世界じゅうに発揮して世界を平安にしようとした人は、 それに先だってまず [世界の本である〕その国をよく治めた。

その国をよく治めようとした人は、それに先だってまず〔国の本である〕その家を和合させた。

その家を和合させようとした人は、それに先だってまず〔家の本である〕わが身をよく修めた。

わが身をよく修めようとした人は、それに先だってまず〔一身の中心である〕自分の心を正した。

自分の心を正そうとした人は、それに先だってまず [心の中心である〕自分の意念(おもい)を誠実にした。

自分の意念を誠実にしようとした人は、それに先だってまず〔意念の本である]自分の知能(道徳的判断)を十分におしきわめた。

知能をおしきわめ〔て明晰にす〕るには、ものごとについて〔善悪を〕確かめることだ。」

となっています。

『大学』を皆で斉唱して私の十牛図となりました。

90分お話して、質問を受けました。

質問もまた熱心に取り組んでおられる方ならではのものばかりでした。

それから更に会場で懇親会となりました。

大勢の方々と名刺交換をさせてもらいました。

今のこの時代に、人間としてどう生きるべきか真剣に学んでいる皆さんとご縁ができました。

これはまた実に有り難い若獅子の勉強会でありました。

 
横田南嶺

若獅子

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