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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.01.09
今日の言葉

健康寿命

人生百年時代とは、よく聞かれる言葉となりました。

日本の百歳以上の方は、八万人を超えるようになりました。

アメリカでは十万人を超えているのだそうです。

生活環境や医療、食事などがよくなったからだと思います。

そうかといって、禅宗のお坊さんで百歳以上の方というと、それほど多くはありません。

私が思い浮かぶ範囲では、奥山方広寺の足利紫山老師が百歳を超えていらっしゃいました。

松原泰道先生が百一歳、方広寺の大井裁断老師が百三歳でありました。

他宗派を含めますと、清水寺の大西良慶和上が、百七歳という長寿でした。

瀬戸内寂聴さんがお元気で百歳を超えるだろうと思っていましたが、昨年九十九歳でお亡くなりになりました。

寿命が長くなったのはけっこうなことだと思いますが、健康寿命ということも考えさせられます。

健康寿命とは、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間をいうそうです。

要は健康でいられる時間のことです。

この健康寿命については、日本人の男性は、平均寿命より八年、女性は十二年短いという資料があります。

つまり男性の平均寿命は八十歳ですが、健康寿命は七十二歳、女性の平均寿命は八十七歳ですが、健康寿命は七十五歳だというのです。

平均寿命についての資料はかなり確かなものでしょうが、健康寿命についての資料は調査が難しいので、どこまで信憑性があるか疑問です。参考程度にみておきましょう。

やはり元気で長生きした方がよろしいかと思うのであります。

もちろんのこと、人間が生きることは、生老病死の苦を避けられませんので、老いる苦しみの中を生きなければなりません。

寝たきりや、認知症であってもそれもまた人生であります。

そうはいっても、できることなら、自分で動けて長生きするのに越したことはありません。

お正月に、いろんお客様が来て下さいます。

さすがに百歳を超える方はお見えになることはないのですが、九十歳以上の方でお越し下さる方がいらっしゃいます。

円覚寺というところは、坂と階段の多いところです。

お年寄りにとっては、来るだけでもたいへんなところなのです。

私の所に来るとなると、たくさんの階段があるのです。

お越しになれるということは、まず自分で歩けてお元気な証拠なのです。

そういう方に接すると、お元気の秘訣は何であろうかと気になるものです。

そこで、九十歳以上の方には、いろいろとお元気の秘訣を聞いてみたのでした。

まず結論から申しますと、これをやっているから元気だという特別のことはないということです。

あまり特別のことをしていないと仰る方が多いように感じます。

もっともそれはご謙遜していらっしゃるので、それでもよく聞いてみると、なるほどこれが大事だなと思うことがありました。

ある方は、いつも姿勢に気をつけることだと仰っていました。

その方は、いつも姿勢がきれいであります。

身なりもとても上品でおきれいになさっています。

周りに迷惑をかけることがないように、なるだけ自分で動く、いつも姿勢をキチンとして坐っていることを注意しているというのです。

姿勢を保つということは、動いていないのですが筋肉が必要であります。

その方は、「管長がいつも腰骨を立てるようにと言ってくださるので、それを気をつけています」と仰ってくださいましたが、常に腰骨を立てるように意識することは、健康長寿にもつながると思いました。

ある方は、九十歳を過ぎても毎日ブログを書かれています。

これも健康にはとてもいいのだろうと思いました。

なにか文章に書こうと思うと、まず頭を使います。

それに部屋の中にいるだけでは、書くこともなくなりますので、少しでも外に出て歩くようになります。

その方は写真もとてもお上手なので、毎日のお散歩の中で、道端や足元に咲く小さな草花にも目を向けてすばらしい写真を撮って、それに文章を添えていらっしゃいます。

これをもう六千回継続しているというのですから、驚きであります。

私の毎日の管長日記もようやく三百六十回を超えたところです。

かつて五木寛之先生と対談した折にも、五木先生は毎日の連載をもう一万一千回以上続けていらっしゃると聞いて驚いたことでした。

書きだめをせずに毎日必ず書くのだというのです。

これも五木先生のお元気なことの秘訣かと思ったのでした。

毎日書くことは頭を使い、気持ちを若返させると思います。

松原泰道先生の『日本人への遺言』のなかに次の言葉があります。引用させていただきます。

「以前、作家の五木寛之さんと対談をしたことがあるのですが、彼はこう言っていたそうです。

「松原泰道という人は、ばかに好奇心の強い人だな」と。

私はこれをよく言われます。わからないことがあると、とことん知りたくなるんですね。百一回と歳を重ねてきたけれども、私はまだまだ修行中。

心を澄まし周りを見わたしていると、当たり前だと思っていたことに新たな発見ができることがあります。

発見ができると感動ができるわけで、これが非常に大切です。」

というものです。

百一歳になっても「まだまだ修行中」と言われるところが、素晴らしいと感服します。

また同書には、

「普段は何でもないと思っている事柄を何となく見つめていると、何かがふっと見えてくることがあります。

それは上司の何気ない行動のこともあれば、友達の口癖だったり、道端に咲いている花かもしれない。見ようと思わなくても、向こうから何かを見せてくれることがあるのです。

こうした深い受け止め方を、私は「心の受信機」と呼んでいます。

心の中にある感受性ですね。この感度がオフになっていたり、鈍いと平凡な出来事はそれだけで終わってしまうけれど、感度が細やかになればなるほど、機能が自分自身に忠実になり、自分に必要な情報をキャッチすることができるようになります。

人間が豊かな人生を過ごすための大事な装置なのです。」

とも書かれています。

つねに好奇心を持って、感受性を高めることは健康寿命に大いに関わると思いました。

なにせ松原先生は、お亡くなりになる三日前までご法話をなさっていたのでした。

お互いに元気で長生きを目指したいものです。

 
横田南嶺

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