鈴木秀子先生
私の心から尊敬申し上げる方であります。
円覚寺の夏期講座にもご講演いただいたこともあり、季刊誌『円覚』の正月号には、先生の講演録が載っています。
本日、鈴木秀子先生から小包が届きました。
何かなと思って開けると、お手紙と新著『人はいつか死ぬのだから』というPHPから出された本が入っていました。
実に有り難いお心遣いに、感謝するばかりであります。
鈴木先生の本は、どの本も座右に置いて読むと心が安らぎます。
いただいた本を開いてみると、素晴らしい言葉がありました。
ご紹介します。
「晩年を人間らしく、豊かに生きるとは、何か立派なこと、大きなことを成し遂げることではありません。
むしろ、当たり前のこと、小さなことに目を向けて、それらに感謝してこそ、豊かな心で日々を送ることができるのです。
「今日も一日、無事に生きられた」「今日もご飯を食べることができた」「今日も自分の足で歩けた」
「今日も家族と話ができた」……と、一日を振り返って、当たり前のことに感謝して眠りにつく。
これが人間らしく生きる秘訣です。」
というのです
その通りだなと思います。
更に「人間は、なぜ生まれてきたのでしょうか」と質問を投げかけられます。
その答えは、
「それは、成長し続けるためです」というのです。
鈴木先生は、
「病気になっても、年老いて物事がはっきりわからなくなっても、たとえからだが動かなくなっても、にっこり微笑んで「ありがとう」と言うことはできます。
どんな状態にあっても、その中で人間として死ぬまで成長することができます。
与えられた環境の中で、小さいことにも愛と感謝を持ち続け、自分なりの実践を続けていく。
– その積み重ねが、晩年を人間らしく豊かなものにするのです」
と説いてくださっています。
小さなことに目を向けて感謝すること、簡単のようで疎かにしてしまいがちです。
改めて感謝するように意識しなければと思い直しました。
曹洞宗の尼僧である青山俊董老師と、聖心会シスターの鈴木秀子先生と、お二人のお年は近くて一つ違いなのです。
はからずも、そんな人生の大先輩であるお二人から、同じ時期にご著書を送っていただいて、感激しています。
横田南嶺