今日の出来事
大用国師のこと
六月二十八日は、円覚寺の中興大用国師こと誠拙周樗禅師のご命日であります。例年ですと、この日には円覚寺山内の和尚様方にご参列いただいて、ご命日の法要をお勤めします。
今年は、やはり縮小せざるを得ず、僧堂の雲水のみにてお勤めしました。
僧堂の本堂である宿龍殿という建物は、それほど大きいものではありませんので、山内の和尚様方がお集まりになると、実に「密集」状態になります。
加えて、この頃は「声を出す」ということが感染拡大につながると言われていますので、「密集」の中で、しかもお経を読むという「声を出す」という行為は、憚られるのでやむを得ません。
思えば昨年は、大用国師の二百年遠諱で、京都からも各本山の管長さま方にお越しいただいて、関東の老師方にもお集まりいただいて、何百名もの和尚様方が仏殿に集い、盛大に法要を勤めたのでした。
またこの大遠諱を記念して受戒会も行い、千二百名もの方々に本山にお越しいただいて、儀式を務めたのでした。
今なら考えられないようなことです。
たった一年で、世の中はこんなに変わったのだとしみじみ思います。
森信三先生は『森信三 一日一言』の中で
「釈尊の説かれた「無常」の真理とは、「この世ではいつ何が起こるか分からぬ」
ということです。
それ故われわれは、常にこの「無常」の大法を心して、いつ何が起ころうと驚かぬように心しなければならぬ」
と説かれています。
「無常」の一語を噛みしめています。
横田南嶺