逆境こそ修行の好機
若かりし日の釈宗演老師
釈宗演老師は、円覚寺に来て今北洪川老師のもとで伝統の修行を終えたあとに、
慶應義塾で英語を学びに行かれました。
伝統の禅の世界を貴ぶ洪川老師は、宗演老師の慶応行きを快く思ってはいませんでした。
そこで、長い漢文の文章を送って、宗演老師に、どのような環境にあっても、
仏道修行を忘れぬように諭します。
その文のなかで、洪川老師は、宗演老師の慶応行きと、昔の大燈国師が、
修行を仕上げたあとに、京の五条の橋の下で、乞食の群れに混じって
修行された故事を引きあいに出して比べています。
大燈国師の修行は、逆境の中だから、むしろ環境に誘惑されることがないので、
修行しやすい。慶應に行くことは、順境だから、誘惑も多くて修行は難しい。
その困難な中で、敢えて道心を失わず、正念を失わずに慎重に修行して
欲しいと諭されたのでした。
思うに任せない状況にある時、すなわち逆境にある時こそが、
実は修行にとっての好機なのです。
(後記)
今日から26日まで、円覚寺僧堂では、1週間に及ぶ集中坐禅修行期間となりました。
僧堂師家である横田南嶺老師をはじめ、和尚、雲水、居士・禅子が禅堂に籠り
坐禅修行に精進しています。