思い込みを否定をする
「冬の朝 白い布団で 寝る草木」これは、小学生の女の子が作った俳句です。
白い布団とは、雪のことで、子供の感性というのは、本当に素晴らしいものです。
私ども、お寺にいて、雪というと「雪かきをしなければならないな」とか「冷たいな」
というような思いしかなく、いつまでたっても、たいへんだ、つらいだという
思い込みしかないが、この小学生は、違う見方をしています。
人間というのは、その思いによって見る景色も様々に違ってくる。
我々、禅の修行というのは、一言で申しますと、この思い込みを否定をすることです。
このことに尽きるのであります。
思いというのは、誰かが作ったわけではない。私自身がそのような思いの枠の中に
いる訳です。この思いの枠の中にいる状態のことを迷いというのです。
この思い込みが外れ、この思い込みを越えて、純粋にものを見ると
この小学生のような、雪の布団にくるまれて、安らかに眠っているような
ものの見方も開かれてくるのでしょう。
(平成30年6月2日 横田南嶺老師 夏期講座「無門関提唱」より)