「万里一条の鉄」 一日一語138
<坂村真民さん揮毫の色紙>
人間学を学ぶ月刊誌「致知」3月号に掲載されている
横田南嶺管長の連載「禅語に学ぶ」より抜粋しました。
昨年の暮れに、わざわざ(坂村真民記念館館長である)西澤ご夫婦が
円覚寺までお越し下さった。揮毫のお礼によ、真民先生の直筆の短冊を
頂戴した。身に余る光栄である。
開けてみると「万里一条鉄」と書かれていた。墨痕淋漓(ぼっこんりんり)たる
実に鬼気迫る書に、身震いする思いがした。
万里一条鉄の話は、元来は平等一枚の世界を表す禅語である。この世に
現れた現象は千差万別ある差別の世界であるが、真理は何の差別もない平等の
世界である。それを表すのが本来の意味である。
そこから更に、千里万里の道をもただ一念を貫き通してゆくという意味にも
用いられる。真民先生も詩の中でこの言葉をよく使われているのは、その意味
である。・・・