「応病与薬」というスタンス 一日一語 110
青空に沸き立つ雲 参道にて
今日の淡青坐禅会で横田南嶺老師が提唱されたことをまとめてみました。
宗教というものは、様々な性格があります。特に仏教というのは、積極的な
布教をやってこなかったという一面がある。と言うのは、「応病与薬」と言って
病に応じて薬を与えるというがお釈迦様の教えであるからです。
その人が病を得ている、何か苦しみ悩んでいる原因がある。そういう人が来たら
それに対して、その病に対する薬を与えてあげる。それが仏教の教えでありまして、
その人が悩みを持っていたならば、それに対して解決に導くような教え、真理を
説いてあげましょうというのが、お釈迦様以来の仏教の伝統であります。
ですから、健康な人に薬を売らないのといっしょで、今でいえば、病院の
ようなものでございます。病院はあまり勧誘はしません。具合が悪くなって
来た人に対しては、教えを説きましょうというのが、お釈迦様以来の仏教の
根本姿勢です。
積極的に病気や原因がないのに、薬はいりませんか?ということはしなかった。
そういう点が、今日、いろいろ問題を起こしている他の宗教と根本的に違う
ところです。
ある宗教は、全世界の人を自分の宗教の信者にすることを掲げています。
仏教は、全世界の人を仏教にしようとは最初から教えていない。
何か悩みや困ったことがあればお越しください、すると、その悩みに
対する処方箋、それは、坐禅であったり、念仏の教えであったり、
真理を示してあげましょうというのが、仏教の根本です。
全世界の人を信者にと布教している宗教とこのような姿勢の仏教と
どちらかが良いのかは、その人その人の判断でありましょうが、
これだけ宗教をの名のもとに戦争や問題が起き続けているのを見ると
仏教のあり方が何か尊いような気がします。