円覚寺の坐禅堂には、「人命は呼吸に在り」という言葉が掲げられています。
私も修行を始めたときに、「この一呼吸が生涯最後の呼吸、末期の一呼吸だと
思って息を吐け」と教えられました。呼吸はふだんの生活の中では意識も
しないでしょうし、ありがたいとも思わないでしょう。しかし、坐禅をすると
自然と呼吸に目を向けるようになります。
そして、坐禅にはどんな呼吸法が向いているかではなく、どのような呼吸で
あろうと、呼吸できることがいのちそのものである、ということに気がつかされる
ようになるのです。
{『やすらぎ通信』より}