そもそも、お施餓鬼とは?
<施餓鬼棚 黄梅院>
横田南嶺管長がお施餓鬼について説明されたものをまとめてみました。
施餓鬼というのは文字通り餓鬼に施すと書きます。古くは室町時代から盛大に行われてきました。
それではどういう時に施餓鬼をやっていたかというと大災害や疫病などで大勢の人がなくなった時
でした。一ぺんに大勢の方々が亡くなられると、どうしても一つ一つ丁寧にお弔いをすることは
難しい。中には満足なご供養もされない方もいる。そんな時に室町幕府の足利将軍が中心になって
坊さんを集めてこういうお施餓鬼に儀式を行ったのでした。
その時に、仏教の宗派はたくさんあるけれど禅宗の坊さんが選ばれました。それは禅僧というのは
厳しい修行をしているからお経を読めば一番効くと当時は信じられていたからです。
大災害や飢饉が起こると野外で大施餓鬼を行いました。その場には実際に飢えて死にそうな人も
いたでしょう。その祭壇(施餓鬼棚)にみんなで持ち寄ったものをお供えをし、儀式が終わると
飢えている人などに分け与えたのです。その名残で今でもお施餓鬼の祭壇は外に作っています。
<本堂正面から見た施餓鬼棚>
施餓鬼棚の上には水向けといってお米とお水が供えられています。昔は飢えてその場で
亡くなる方もいたでしょう。人間最期は水を欲しがると言われています。そういう人の為に
最期の水を施してあげたいという気持ちが込められています。
<施餓鬼棚 手前左右に水、中央のハスの葉の上にお米、奥にお供物として海のもの、山のもの>
長い歴史をみれば、懇ろにお弔いをしてもらって戒名、位牌があるのは幸せなことで
そういうことに縁がない人は世の中にたくさんいます。そういった方々に思いをはせて
自分だけが幸せになるのではなく、大勢の御霊を供養するというのがこういうお施餓鬼の
儀式です。