心の向きを変える
4月2日(水)
法堂跡にて。スズメたちも春の到来を待ちかねていたかのように
仏殿まわりを元気にさえずりながら飛び回っています。
横田南嶺老師が今日の淡青坐禅会で提唱されたことをまとめてみました。
臨済禅師は「今、仏道を修行するものは自らを信じるということが大事である」
と仰せになっています。お釈迦様も「己こそ己のよるべ」「自らを灯火(ともしび)とし
自らをよりどころとせよ」と言われました。
よりどころとなるのは、各自めいめいの本心・本性のことです。
それは、今、こうして目の前で話しを聞いているもの、これこそが仏なので
あります。それに気づくには心の向きを変えることが必要です。外に向かって働く心を
内に向ける。
外に向かって働く心というのは、たとえば、今し方、ヘリコプターが轟音をたてて
上空を過ぎる音がしましたが、それを聞いて「あの音はうるさい!せっかく坐禅を
しているのに何だ!」や「あれはいったい何の音だ?何かあったのだろうか?」と
思うのは外に向かっている方向です。
その流れを変えて自分にこう問いかけてみる。
「その音を聞いているものは何ものか?」と。
そうして心の向きを外から内に変えてみると外の音が何であろうが関心は
なくなってしまうでしょう。
「今、こうして、聞いているものは何ものであるか?」と自らに問いかけると
「今、こうして聞いているものこそ仏であった!」と気づくはずです。
このことを深く信じることが「自らを信じること」ということなのです。
こうして信じることができるならもう外の世界に振り回され、惑わされる
こともないはずであります。
(後記)
舎利殿の裏手にある六国見山山頂から。山桜が山並みをきれいに
彩っています。向こうに見えるのは鎌倉市街と海です。
円覚寺境内・妙香池からみる山桜。