腰骨カウンセリング
3月24日(日) 学生大攝心・最終日
管長様が本日の学生大攝心で提唱されたことをまとめてみました。
腰を立てると書いて「立腰(りつよう)」という言葉があります。
一生涯を教育に捧げた森信三先生という方が「立腰」ということを
熱心に提唱されました。
森先生は「21世紀の教育に何が一番大切か?」と訊かれたならば
「まず第一に腰を立てることである、自分の子どもに腰を立てることを
教えることができたならば、もうそれ以上のことはない」とお答えに
なったそうです。
「教育現場では、いろんな知識をたくさん教えるが、腰を立てること、
大きな声で元気にあいさつをすること、はきものをそろえること、
そう言うことが一番大事である」と森先生はお唱えになりました。
その森先生の他の言葉に「いかにささいなことであっても、人間何か
人の為に尽くすことによって本当の意味で生きることになるのである」
と言うものがあります。
腰を立てるということと人の為に尽くすということは、一つにつながらない
かもしれません。しかし、決してそうではありません。いつも腰を立ててお腹に
力を込めることが大きな力となるのです。
この学生坐禅会に長く通って、今、学校で児童カウンセリングをやっている青年
がいます。いつだか彼から次のことをききました。彼は、いじめにあって不登校の
小学校の子どものカウンセリングを担当している。カウンセリングというのは、
何をすべきと「あーしろこーしろ」と言うのではなく、とにかく相手の話を
聞いてあげることだそうです。
その青年は、円覚寺で坐禅をしているものですから普段から無意識のうちに
腰を立てて相手と向き合い相手の話を聞いています。頭に血を上すのではなく
腰を立てておなかに力を込めてゆったりと相手の話を聞く。そうすると相手も
自然と話やすくなる。
そういう風にその子どもに接していたら、ある時にその子が次のように
言ったそうです。「先生はいつも姿勢がいい。先生を見ていると気持ちが良い。
ぼくも先生のまねをしたい」と。
そして、その子はカウンセリングの間、青年と同じように腰を立てて話を
するようになった。腰を立てるようになってしばらくすると自然と学校に
行くようになり、そしていじめられなくなったそうです。
腰を立てるというただそれだけのことですが、そうすることによって、
その人、その子どもの本来持っている素晴らしい心というものが自然と
はたらいてくる。
「姿勢と正せ!」と他人にガミガミ言うのではなく、まず自分が腰を立てて
おなかに力を込めてゆったりとした気持ちでおれば、それだけでその人に
接する人も変わってくるものです。
(後記)
おかげさまで、平成25年度春季学生大攝心、無事に終了することができました。
ご参加下さいました皆様、2泊3日、本当にお疲れ様でした。
誠に有り難うございました。
この学生大攝心の運営に陰に日向にお手伝いいただいた雲水さん、早稲田大のCさん
有り難うございました。