真の宝
11月14日(水) その2
管長様が前回の僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
「オレのだ!オレのだ!」とため込むことばかりに執着していれば
最期死を迎えてそれら手放す時の苦しみははかりしれません。
はじめから無一物というところに親しんでいるのが「禅」の生き方で
あります。
「何にもないことに楽しんでおれる」という、こういう心境を養って
おれば、「あればあったでよし、なければなくてよし」という心鏡を
養っておれば誠に賢明な生き方です。
今あなたにとって一番の宝は何でありますか?人に訊けばそれぞれ
言うでしょう。先祖代々伝わっている掛け軸だとか、家屋敷・田畑だ
とか、また、自分の家族だとかそれはわが子であると。
しかし、一番の宝はこの各々持って生まれたこの命、この心であります。
これ以上の宝はありません。
お釈迦様は「やがて死するもの、今、命あるは有り難し」という言葉を
遺しています。この「今、命あるは有り難し」ということにどれだけ
深く感動した体験があるかが、お坊さんとして、宗教者として、はたまた
誠に人生を生きるものの値打ちなのではないでしょうか。
大切なことは、知識が豊富であるとか、財産がたくさんあるとか、
社会的地位が高いとかよりも、真に「今、命あるは有り難し」という
この一事にどれだけ深い感動を持っているかであります。
(後記)
今までの管長様の提唱で、その時紹介できなかったものを、
折に触れて、紹介していきたいと思います。