成佛の姿
11月13日(火)
管長様が一昨日の日曜説教会で提唱されたことをまとめてみました。
坂村真民先生に
{鳴いて 鳴いて 鳴き通し 鳴いて 落ち葉と共に消えていく
こおろぎたちの見事な成佛}
という詩があります。
成佛とは秋の虫のように鳴いて鳴いて鳴き尽くして
自分の命のあらん限りを尽くしていったその姿を言います。
これから紅葉の季節となります。「円覚寺の今年のモミジは
どうですか?」よく訊かれます。人間は勝手に去年と比べて
どーだこーだと言いますが、モミジにしてみれば、どんな年で
あっても、どんな色づきであっても、その年限りの精一杯の姿
であります。
紅く色づいた時ばかりがモミジの姿なのではありません。
新緑の時も夏の青葉の時も、落ち葉の時もはたまた、枯れて
しまった後もモミジの精一杯の姿であります。それは命の姿
成佛の姿です。
私たち人間も苦しんでいる姿、迷っている姿、年をとっていく姿、
病気の姿、そしてやがて死を迎えて、もう一歩言えば、死んだ後ですら
命一杯、精一杯のすがたであろうかと思います。
モミジが紅や黄に染まって自分のなすべきことを尽くして風に
まかせて散っていくように、私たち一人一人も、欲望や怒りに
振り回されず、自分の務めを精一杯果たして散っていくことが
お互いの真の成佛であります。
(後記)
寒暖の差が激しい日が続いています。みなさん、体調を
崩されないよう、お気をつけくださいますように。