生きることが何よりの供養
9月10日(月)
管長様が昨日の日曜説教会で提唱されたことをまとめてみました。
(管長様が、先日、紀伊半島大水害の1周忌慰霊祭に出席した時のお話です。)
私の目の前に坐っているご遺族の一人というのは、お母さんと娘の
二人暮らしをしていました。そして、去年の大水害の時、二人は家ごと
流されたのですが、奇跡的に娘さんだけが助かってお母さんは未だに
行方不明のままで、この慰霊祭に参列して座っている方でした。
最初その娘さんにご挨拶した時は、慰めの言葉もございません、ただ、
手を握るだけでした。
お経が終わって、その娘さんに申し上げたんです。
「その悲しみは察するに余りあるものですが、どうか、
亡くなった人の気持ちを考えてみてください。たいへん、
話ににくいことですが、お母さんがどういう気持ちでお亡くなりに
なったのか察してみてください。お母さんはそういう家ごと
流されていって死を覚悟した時に{自分のいのちは亡くなっても
どうか娘だけは助けて欲しい}と切に願ったことでしょう。
だから、生きてください。」と。
観音様のこころをよくお話ししますが、観音様は人が困っていれば、
火の中でも助けてくださる。水におぼれていれば、水の中でも
救ってくださいます。
あの洪水にのまれても、「どうか、自分の子供だけは助けて
ください!」と願うお母さんのこころは、まさしく観音さまの
こころそのものであります。
だから、生きてください。生きることが何よりの供養であると
申し上げたんです。
鈴虫花 <黄梅院>