色褪せぬもの
2月5日(日)
管長様が本日の土日坐禅会で提唱されたことをまとめてみました。
「十洲春尽きて花凋残(ちょうざん)
珊瑚樹林日杲杲(こうこう)」
十洲とは昔の中国の人が考えた仙人の世界、つまり理想郷
であります。死んだ人がよみがえるお香がある、これを飲めば
長生きできる薬がある、別荘地のように景色がよく気候が
いい場所がある、珍しい獣がとれる、すばらしいダイヤモンドが
とれる・・・。
これは単なる昔話というよりも今の時代でも我々はそうたいして
変わらないことを考えているのであります。そう思うと人間はやはり
あまり進歩していないと思わざるを得ないのであります。
そんな仙人の世界は、春が非常に長く百年続きます。しかし
どんなに長い春であってもやがて必ず春は終わり、花も散ってしまう。
尽くそれらのことを満足したとしてもやがては必ず終わるときがくる
のであります。
また、どんな言葉を費やしても、やがては尽きてしまうし、どんな
思索をめぐらしても必ずいきづまってしまう。文明・文化がどんなに
発達してもやがて尽きてしまいます。そんななかであっても、
海の底の珊瑚は変わることはないという言葉であります。
海底の珊瑚とは我々めいめいの仏心・仏性であります。
我々の本心である仏性だけはどんなに時代が移り変わっても
尽きることはなく色褪せることはないのであります。人の
ぬくもり、温かさを感じていく心は変わることはないのであります。
我々はそれを求めて行かなくてはならないのであります。