徧界一覧亭(へんかいいちらんてい)
12月6日(火)その2
今日は、山内の和尚様を中心とする五百羅漢研究会の方々と瑞泉寺さんに
徧界一覧亭を見学に行って参りました。普段は一般公開はしていないのですが
今回は特別に瑞泉寺さんのご好意で拝観させていただけました。
徧界一覧亭は、瑞泉寺が建てられた錦屏山の頂上に位置し、「徧界」とは
すべての世界のこと、それを見渡すことができることから
その名がつけられたそうです。
瑞泉寺は夢窓国師が53歳の時に建てられました。夢窓国師は
庭園作りでも有名でこの庭もその一つです。
大きな洞窟は天女洞、別名・水月観道場とよばれ坐禅修行の場所で
あったそうです。
この橋を渡って崖にほられた階段を上って山頂の徧界一覧亭に
行きます。
険しい山道を5分ほど登ると着きました。これが徧界一覧亭の
建物です。
今日は曇り空で富士山は見えなかったのですが、目の前に広がる
山々や鎌倉市街、海は見ることができました。夢窓国師は山野自然を
愛されました。まさにそんな心を象徴するような景観です。
国師も絶景を眺めながら坐禅をされたのかと思うと感慨深く
なります。
この場所は、五山文学の時代、禪僧達によってしばしば
詩会が開かれ文化サロン的なところとなったそうです。
下山後、瑞泉寺さんでお抹茶をご馳走になりました。
書院の掛け軸に前管長さんが揮毫された夢窓国師の漢詩が
掛かっていました。徧界一覧亭を詠んだ漢詩です。
「天は尺地を報じて 帰休することを許す
遠を致し深さを鉤(さぐ)りて 自由を得たり
此に到って人々 眼皮綻(ほころ)ぶ
河沙の風物 我焉(いずく)んぞかくさん」
恐れながら意訳してみました。
天は私(夢窓国師のこと)にこの小さな徧界一覧亭が建つ
わずかな土地を休息する場所として与えてくださった。
ここで坐禅をして自己探求をしているうちに心の自由を得た。
この場所にくると誰でもハット目が開かれる。
目の前に果てしなく広がる光景が仏様の真理そのものだ。