大阿闍梨来たる
塩沼亮潤大阿闍梨が
訪ねてきてくれました。
大阿闍梨とは
致知出版社とのご縁で懇意に
させていただいています。
今年の円覚寺夏期講座には
トリを務めていただきました。
今年の夏期講座最後の講演にふさわしく
聴かれた方はみな深く感動されていました。
情熱を持って、平易な言葉で
語りかける講演はすばらしいものでありました。
その阿闍梨が上京のついで、円覚寺にお立ち寄りくださいました。
最初は、私とどこかで食事をというお話だったのでしたが、
なんと有り難いことに、修行僧皆の分の
お弁当をお持ちいただいて
修行僧たちと共に語り合うという
とても貴重な機会を作ってくださったのでした。
夏期講座にお見えの折には
僧堂や舎利殿をご案内できなかったので
夕方からご案内して、
あとはお弁当を頂戴して、雲水達二十名ほどと
宗局の部員さん達もまじえて
懇談させていただきました。
雲水達も、あらかじめ皆
阿闍梨の『人生生涯小僧のこころ』を
読んで臨みました。
講演では語られなかった阿闍梨の
深い人生体験を拝聴することができました。
雲水の一名が
阿闍梨から御覧になると
われわれの禅の修行をどのように思われますかと
いう問いに
阿闍梨は一言「とてもぜいたくなものだと思います」と
仰せになったのが印象的でした。
「禅は姿勢を調え、呼吸を調え、こういう恵まれた環境で
薪でご飯を炊いて、静かに坐るというのは、
今の時代にあって
最高のぜいたくだと思います」と言われたのでした。
大阿闍梨の難行苦行から御覧になれば、
われわれ畑を耕し、薪でご飯を炊いて食べて
坐ってくらすなどというのは
たしかに最高のぜいたくをしているのでしょう。
有り難いと思わないとバチが当たります。
横田南嶺