未来連福プロジェクト
東日本大震災の被災地支援に取り組んで齊藤美代子さんという方が
「未来・連福プロジェクト」という活動を企画して
震災以来毎年、原発事故の被害を受けた福島県の方々を鎌倉に招待して、交流を深めています。
今回で8回目。今年は楢葉町などの住民約100人が参加されました。
3泊4日の期間中、建長寺に宿泊して八幡宮や大仏さまなどの神社仏閣をお参りします。
円覚寺にもお越しいただいて、法話をさせてもらっています。
近年は、専ら坂村真民先生の詩を朗読して少し解説をしています。
やはり真民先生の詩は、言葉が洗練されていて読むだけでも心に響くものがあります。
「念ずれば花ひらく」や「二度とない人生だから」などの詩は、毎年読んでいます。
今年は「受難」という詩も取り上げました。
受難
お手紙ありがとうございました
わたくしは受難には慣れております
八歳で父に別れてから
このことを知りました
そして次のことも知りました
いよいよのところでどなたかが
救いあげて下さるということも
それでわたくしは今日まで
生き堪えてきたのです
受難が受難でなく
それはいたらぬわたしの心を
ひらかせてくださる
大慈大悲であったと
受けとってゆくつもりです
けんめいに鳴いているこおろぎも
そのうち息たえてまいりましょう
できるだけ相手を責めずに
わたくしも一世を終わりたく思います
八歳の時に父をなくされた真民先生のご苦労を話しているとすぐ正面で聞いておられたご夫人が頻りに
涙を拭っておられました。
何かご自身に身に引き当てて思われることがあったのでしょう。
なにもたいしたことはできませんが、毎年行っているささやかなる復興の支援であります。
お越しくださった皆さまには、おみやげに
『こころころころ』とペットボトルのお茶に、円覚寺のうちわをさし上げました。
その日も暑かったので
うちわが喜ばれていました。
横田南嶺