これより臘八(ろうはつ)
今日から8日の暁天まで、円覚寺僧堂では、臘八大攝心となります。
臘八大攝心は、一年で一番厳しい坐禅修行期間です。
雲水(修行僧)は、この期間中は、横になって休むことが許されず、
ひたすら、坐禅修行に打ち込みます。
以下は、横田南嶺老師による臘八の提唱です。
「この一日より、八日の暁天まで、臘八の大摂心となります。
改めて言うまでもなく、臘八は、お釈迦様が十二月八日の明けの明星をご覧になって悟りを開かれたことにあやかって修行するのであります。
お釈迦様は、王子の位も捨て、家族も捨て、財産もすべてを捨てきって、難行苦行を六年なされました。
そして、十二月の八日に悟りを開かれたのです。
そこで、我々はとてもお釈迦様の苦行には及ぶべくもありませんが。毎年十二月の一日から八日まで一週間を一日と見なして、坐禅に打ち込みます。
八日の暁天までが一日ですので、この間夜も布団を敷いて寝ることはしません。坐ったままで過ごします。
いくら若い者でも、一週間体を横にしないのは、苦痛でありましょう。
しかし、それを乗り越えて、坐禅三昧の体験をしなければ、禅僧とは言い難いのであります。
この臘八のたび毎に、森信三先生の言葉を紹介しています。
『森信三先生一日一語』の、十一月二十一日の項にある言葉です。
人間の真価を計る二つのめやすー。
一つは、その人の全智全能が一瞬に、かつ一点に、どれほどまで集中できるかということ。
もう一つは、睡眠を切りちぢめても精神力によって、どこまでそれを乗り越えられるかということ。
いつも、この言葉を拝見する度に、森信三先生の深い洞察を思います。まさにその通りなのです。
そして、まさにこの臘八の修行こそが、われわれ禅僧の真価を計る時なのであります。」