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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.01.28
今日の言葉

やさしく触れる

先日は井上欣也さんにお越しいただいて、修行僧のために講座を開いてもらいました。

井上さんは接触の技法を研究しておられます。

控え室で話をしていて、土用の話題になりました。

土用というと、夏のことを思いますが、夏だけではないのです。

『広辞苑』で「土用」を調べてみても、

「暦法で、立夏の前18日(春の土用)、立秋の前18日(夏の土用)、立冬の前18日(秋の土用)、立春の前18日(冬の土用)。その初めの日を土用の入りという。普通には夏の土用をいう。」

と書かれています。

春と夏と秋と冬と四回の土用があるのです。

二月四日が立春なので一月一七日から二月三日までは土用です。

土用というのは、冬から春へと移り変わる「間(あわい)」の時期でもあります。

一月の中頃ですので、外の景色を見ると寒い冬景色にしか見えませんが、自然の内部ではすでに次の季節への準備が始まっています。

寺でも梅の花がちらほらと咲いていますし、それから枇杷の花もひらいています。

春の兆しはすでにあります。

古来、土用は季節の切り替えを担う「土」の時期とされています。

夏の土用ではウナギを食べることがよく知られています。

いろんな説があるようですが、強い暑さで 体力も消耗して、ミネラルも不足がちです。

そこで、消耗したエネルギーを補うために、脂質もありタンパク質もあるウナギを食べるというのです。

冬の土用は冷えに気をつけないといけません。

胃腸も弱りがちです。

この時期、私たちの身体は冬のあいだに溜め込んだ疲れを表に出しやすく、同時に春に向けて動き出そうとする微かな兆しを内に宿しています。

この時に無理をすると、身体はかえって調子を崩すものです。

この頃に寒中見舞いを出したりするのも理にかなっています。

冬の土用は「何かを始める時」というよりは、「調える時」とみた方がよいと思います。

井上さんも今は土用の時期なので、あまり無理をせずに気をつけていると仰っていました。

冬の土用の養生としては体を冷やさないように温めること、冷たい物を食べるのは気をつけた方がいいと思います。

この時に、しっかり坐禅するのは、理にかなっていると感じます。

坐禅は、積極的に何かを成そうとする行為ではなく、ただ坐り、呼吸を調えるのです。

特に下腹、丹田に静かに意識を置くことで、身体の中心が定まり、余計な緊張がほどけていきます。

冬の土用に坐禅するのは、春へ向かう力が自然に湧き上がるようにすることだと言えます。

冬の土用は、春になる前の静けさの時であり、芽吹き前の時間です。

坐禅によって身心を静め、胃腸を整え、足元を確かめることは、春を健やかに迎えるための最も確かな営みだとも思うのです。

この時期に修行道場では冬の摂心が行われるのも理にかなっていると言えます。

手を優しく触れることで体も心も変化するということを、井上さんから教わってきました。

自分の体にも優しく接することも大事です。

井上さんから教わったことをもとにして、両手で蜜柑をすっと包むとか、鳩サブレーを両手でそっと挟むと体がまとまり、心も落ち着くということなどを、イス坐禅の指導で行っています。

相手を、手と手で押し合うという動作を何度か致しました。

力で押してやろうと思うと相手も抵抗しますので、なかなか押せるものではありません。

でも優しくそっと触れるようにすると、相手が抵抗できずにそのまま押されてしまうのです。

一人の人が畳に坐っていて、もう一人の人が、肩を上から押さえます。

立ち上がれないように押さえていると、立ち上がろうとしてもなかなか立ち上がれません。

力で立ち上がろうとしても無理です。

そこで今相手の手が触れている接点に感覚を向けて、そこに自分をつなげてすっと立ち上がると、相手は抵抗できなくなるのです。

すっと立てるようになります。

接点に意識を向けて動くのです。

これをいろいろな動作で学びました。

相手の腕をもって引っ張ろうとして、相手は引っ張られないように抵抗します。

力尽くで腕をつかんで引っ張ってもなかなか難しいものです。

ところが、かわいい子犬でも撫でるような優しい手でそっとつかんで引っ張ると、相手は抵抗できなくなります。

こんなことをしていると実に楽しく学べます。

こういうことは私たちの日常の暮らしにも大いに参考になります。

合掌するにしても優しい手で合わせていると体がまとまります。

叉手といって左手を外にして両手を胸の前に重ねますが、このときもただ手を重ねるのではなく、手を重ねている接点に意識を向けて立つと安定します。

またそこに意識を向けて歩くようにすると、すっと無理なく歩くことができます。

足の裏でもそうです。

爪先あたりで踏ん張るようにして立っていると、押されるとかえってもろいのです。

足の裏を丁寧に全体が畳に密着しているような感じで立ちますと、少々押されても動かないようになります。

足の裏を感じるだけで体にまとまりが出てくるのです。

こんな不思議な体験をさせてもらいました。

井上さんはよく「定・不定の原理」ということを仰っています。

文字通り定めて置くところと動くところ(不定)を分ける原理です。

触れているところが定ならば、それ以外のところは逆に自由になるというのです。

これがいろんなところに応用できます。

坐った姿勢から立ち上がるときでも重力のかかる接点となる頭のてっぺんとか肩を意識して立つとスッと、他のところの力みが消えて立つことができます。

坐禅するときに手を組みますが、このときにも親指と親指の接点や、四本の指の同士の外側と内側が触れているところに意識を向けるのです。

そうするとこれがまた体が安定します。

手をやわらかくする、やさしい手で触れてみるというのは、いろんな動作でも役立ちそうなのです。

冬の土用も意識して暮らしている井上さんは、自分自身にも大自然にもやさしく接しておられるのだと思いました。

 
横田南嶺

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