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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.11.28
今日の言葉

二人の菩薩

先日は大久保寬司さんと共に、坪崎美佐緒さん、清水喜子さん、そのお仲間十数名が円覚寺にお越しくださいました。

大久保さんのことはかつてこの管長日記でも書かせてもらったことがあります。

日本IBMでCS部長をなさっていた方で、退社されてからは「人と経営研究所」を設立されている方であります。

かつてオンラインでお話をうかがった時に、「人を変えようとしても変えることはできないのです。人は理解された時自分で変わっていくのです。」という言葉に深く感銘を受けたのでした。

そしてそのような生き方を実践している人がいるということを教えていただきました。

「北の菩薩」と「西の菩薩」のお二人であります。

昨年はこのお二人にお目にかかることができたのでした。

このお二人については、須磨寺の小池陽人さんのYouTubeチャンネル「小池陽人の随想録」でそれぞれの方と小池さんとの対談と、それから三人での鼎談が四本の動画となって公開されています。

お二方の人となり、その考え方がよく分かります。

坪崎美佐緒さんには『いま、目の前にいる人が大切な人』という本があります。

坪崎さんは、「プロコーチ、コミュニケーション・チームビルディング講師、 マナー講師。株式会社self-esteem (セルフエスティーム)代表。」でいらっしゃいます。

ご著書のプロフィールには更に、

「1964年6月生まれ。 北海道旭川農業高校出身。
1993年、結婚後は専業主婦として家事や子育てを楽しむ。
2007年、ひょんなことからパートに出ることになり、このことが後の人生を大きく変える。
2008年、 コーチングに出会い、 2010年に資格を取得する。2010年、RISE マナー認定講師になる、その後、日本プロトコールで資格取得。
2011年、この仕事で人の役に立ちたいと self-esteem を開業。 コーチ、マナー講師として活動を始める。」
と書かれています。

坪崎さんという方は、どんな人にあって、どんなことをいわれようが、どんなことをされようが、決してなぜ自分はこんな目に遭わなければならないのかとか、あの人はひどい人だとは思わない方です。

その人も素晴らしい心をもっているのに、なにか原因があると思うのだそうです。

坪崎さんにとってのコーチングとは、「「いま、目の前にいる人に大切に思っていることを伝える」ことができるコミュニケーションです。」ということです。

この言葉通りを実践されているのであります。

坪崎さんの目には、どんな人であれ、その人の可能性、素晴らしさ、魅力、長所、輝きしか入っていないのだと、昨年お目にかかってしみじみと思いました。

最近のお話もうかがいました。

あるお店で、ある年配の方にぶつかられて、とても大きな声で怒鳴られたそうなのです。

坪崎さんはその方に「そうですね」と言って、お話をうかがったそうなのです。

坪崎さんにとっては、その人は何か悲しいこと、辛いことを抱えているに違いないと見えるのです。

お話をうかがうと、奥様に何か買ってあげたいと思ったのに、思うようなものがないということらしいのです。

それから坪崎さんは、その方と奥様に買ってあげるものを探して回るのです。

お花でもどうですかといってお花を探したのですが、仏花ばかりだったのでした。

それでもピンクの華やかなトルコキキョウを選んで買うことにしたのでした。

そのようにして怒鳴られた方の話を聞いて、一緒に買い物もなされたのです。

そうしたら、その方が坪崎さんに、「あなたにぶつかってよかった」と言われたという話でした。

ぶつかられて、怒鳴られて「あなたにぶつかってよかった」と言われるとは、恐れ入るばかりです。

スーパーのレジで並んでいたそうです。

レジ打ちの女性がどうも慣れていないようで、もたついて時間がかかっていました。

坪崎さんのすぐ前に並んでいた年配の男性が大きな声をあげて怒鳴りましたた。

そして後ろを振り向いて坪崎さんに向かって「いつまで待たせるんだ。ほんとにしょうがないよな」と言いました、

坪崎さんはただ微笑んで「ねー」と言ったそうです。

そうですよね。どちらも困っているのですよねのねーでしょう

ただ「ねー」とだけですが、その言葉ひとつで、その人が優しくなったそうなのです。

そのあとその男性は、レジ打ちの子に思いやりの心が起こって謝ったのでした。

みんなが穏やかになったという話です。

また電車の中で幼い子供が大きな声で泣いていて、母親も困っていたそうです。

坪崎さんは少しずつ近寄っていってその赤ん坊と目を合わせました。

目を合わせて言葉ではなく、心で「泣いてもいいのよ、だいじょうぶ」と伝えたそうです。

するとお子さんも泣き止んだというのです。

それからみんなもその母親とお子さんに優しくなったという話でありました。

それから清水喜子さんにもお目にかかりました。

清水さんは十八歳から四十一年間、市役所に勤めていて、二年早く退職されたという方です。

今は、折れない心を育てるいのちの授業認定講師となられています。

さまざまなコミュニティでの対話会や企業、団体、市役所・区役所などの行政機関や寺院での講演会、被災地支援の講演会などでもお話なされているそうです。

大阪の市役所ではたらいておられた時には、困難を抱えた方からの相談や苦情を聞いて対応されていたそうです。

そんなお話を昨年うかがいました。

先日もこんな話をしてくださいました。

あるとき、窓口で丁寧に対応をしても、なかなか納得いただけずに、大変お怒りの方がいらっしゃったそうです。

声がどんどん大きくなって、他のお客様も不安になられると思い、お部屋にお通しして、本当に伝えたかった想いについて、詳しく大切にお話を聴かせていただいたそうです。

そうするとだんだんとその人が穏やかで優しいお顔になられたというのです。

そして、今度来られることがあっても、大声でお話にならないようにお願いすると、納得してその約束も交わしてくれたというのでした。

これも人は理解された時に変わるということなのでしょう。

もう一つ驚いたことは、二十代の頃に大阪の女子マラソンに出場することになった話でした。

人前に出るのは苦手で、とても多くの方が集まる中を走るのは嫌だったそうですが、走ることになったのでした。

フルマラソンを走るのは初めてだったのです。

走ってみると、沿道には多くの方が応援されていて、その方々に有り難うございます、有り難うございますと御礼を言い続けるうちにゴールに着いたというのです。

結果二時間代で走ったというのですから驚きです。

ペースも落ちることがなく、体にも故障なく、走り終わったあとは職員としてゴール付近で飲み物を配っていたそうです。

感謝感謝で人生が変わるともよく言いますが、実際にフルマラソンも完走できるとは、まさに思いが人を変え、人を作っていくのだと改めて学びました。

坪崎さんも清水さんもずっと笑顔で、感謝、感謝の思いであふれていらっしゃるのでした。

今回もお二人のいろんなお話をうかがうことができて感動の一日となりました。

 
横田南嶺

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