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臨済宗大本山 円覚寺

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2025.10.11
今日の言葉

好評、寝る禅

十月五日は達磨大師のご命日で午前十時から円覚寺の佛殿で法要を行いました。

日曜日ということもあって大勢の方がお参りくださっていました。

達磨大師のご命日ですから「達磨忌」と申しますが、円覚寺では「鼻祖忌」と言い習わしています。

鼻という字には「はじめ」という意味があります。

漢和辞典には、「最初のもの。はなは、人体の先端につき出ていることから」と解説されています。

用例には「鼻祖」があって「いちばんはじめの先祖。物事を最初にはじめた人。」という意味があります。

「鼻子」は一番初めに生まれた子で長子という意味です。

禅宗の一番はじめの祖でありますから「鼻祖」というのです。

また『禅学大辞典』には「鼻祖」は

「物事を始めた人。人が胚胎するとき鼻がまず形づくられると信じられていたことから、鼻を始めの意とする」という解説があります。

達磨忌の法要は一時間ほどかかります。

はじめに導師が達磨大師にお供えをします。

まず、お香を献じて三拝します。

その次には、白湯とご飯をお供えして三拝します。

それからお茶を供えして三拝します。

三拝を三回しますので、九拝になります。

そうして出班焼香といって、導師をはじめとして代表者が達磨大師に香木を献じます。

そこで皆で三拝します。

そのあと導師が法語を唱えます。

今回唱えたのは達磨大師と梁の武帝との問答をもとにしたものです。

迷情を救わんと欲して、海潮を越え
梁王殿上、意気驕(おご)る。
僧を度し寺を造るも無功徳。
聖諦廓然、千古の標。

という七言の絶句であります。

一句目の終わりの「潮」、二句目の終わりの「驕」、そして結句の最後の「標」が韻を踏んでいます。

一句目と二句目の主語は達磨大師です。

達磨大師は天竺のお生まれで海を渡って中国に見えました。

五世紀から六世紀にかけての頃です。

そのことを詠ったのが

「迷情を救わんと欲して、海潮を越え」です。

迷情というのは迷っている人々を言います。

そこで梁の武帝に招かれて問答をしたのでした。

その時の様子が。

「梁王殿上、意気驕(おご)る。」です。

「驕る」とはおごり高ぶるという意味もありますが、「馬が首を高くあげる。馬が首をたてて、勇みたつさま」から「たくましい」という意味があります。

意気が勇ましくたくましい様子です。

梁の武帝だからといって決して負けてはいないのです。

梁の武帝が、自分は多くの寺を建ててお坊さんを養成してきたけれどもどれほどの功徳があるかと達磨大師に問うたのでした。

達磨大師は「無功徳」とお答えになりました。

では聖諦第一義とは何かと問う武帝に、達磨大師は「廓然無聖」と答えになったのです。

山田無文老師は、

「カラーッとして、秋晴れの空のように、雲一つない。真諦だの俗諦だのという雲もない。聖諦第一義なぞという雲もない」

と提唱されています。

漢詩を意訳しますと、

達磨大師は、迷っている人たちを救おうと思って遠く海を渡って来られました。梁の宮殿で武帝に見えましたが、達磨大師の意気は大いに盛んでした。
梁の武帝が、寺を建てて僧を養成することは数えきれぬほどだと言われましたが、達磨大師は、そのようなものは無功徳だと答えています。尊い真理などは、からっと晴れ渡った空のようにどこにもないと示された教えは、千年の後まで禅の標榜となっています。

というほどの意味であります。

そのあと、疏といって達磨大師を讃える言葉が、維那という役のお坊さんによって唱えられます。

これが独自の節で唱えるのです。

そして楞厳呪を行道といって歩きながらお唱えします。

かつて円覚寺では鼻祖忌から冬の法衣に着替えると言われていました。

しかし近年はまだ暑いのです。

先日も日が射して暑い気候でした。

まだ夏の法衣でお勤めしてもなお汗ばむ陽気でありました。

その午後から第二回寝る禅の講座を行いました。

方丈に三十名ほど橫になって実習したのでした。

まずはじめに寝る禅を行う意図をお話しました。

これは骨盤の矯正と、それから呼吸法にあります。

寝ると骨盤が矯正されます。

仙骨後傾でもなく反り腰でもなくなります。

それから橫になると腹式呼吸がしやすくなります。

まず橫になって首をほぐします。

それから肩を動かしてほぐしてゆきます。

そのあとはテニスボールを使って背骨の両脇をゆるめてゆきます。

肩甲骨と背骨の間にテニスボールをあててほぐすと気持ちいいものです。

ここまで行うと、そのまま寝ていたい気になりますが、そこから呼吸法を行います。

これは白隠禅師の『夜船閑話』にある内観の法を私が独自の工夫で行うものです。

腹式呼吸を行って、更に腹圧をかける呼吸に切り替え、足を伸ばしながら行うのです。

これで下腹部から足、そして足の裏までが充実するのです。

そのあとは何もせずに自然の呼吸に任せて橫になっています。

そうしてゆっくりと立ち上がります。

できるだけゆっくり、しかし決して止まらずに右脇を下にしていって立ち上がります。

そうして立つと皆さん、とてもよい姿勢になっているのです。

いろんな感想が聞かれました。

下腹部が充実して温かくなったとか、お腹や腰回りが、どっしりしてまるで大木の幹のようだとか仰っていました。

上虚下実が実感できます。

そして坐ってもらうととても安定するのです。

安定した身体と呼吸は自ずと心を調えてくれるのです。

皆さんの表情を拝見してもとても満足していただいていることがうかがえました。

こんなに体が変わるとは思わなかったとか、腰が痛かったのが楽になりましたとか、感想を言ってくださいました。

これも毎回ですが、私自身が開山忌から午前中の鼻祖忌などの疲れがすっかりとれてどっしりと安定した体を感じることができました。

 
横田南嶺

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