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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.07.24
今日の言葉

どろぼうのはたらき

先日花園大学の授業に行った折に、禅文化研究所でYouTubeの撮影も行ってきました。

この頃は大学の授業や仕事だけでなく、禅文化研究所の仕事も増えたのでした。

禅文化研究所のYouTubeもおかげさまで多くの方にご覧いただいているようであります。

先日も研究所で出している盛永宗興老師の『子育てのこころ』を紹介したところ、多くの方がお求めくださったようです。

古い本でも禅や仏教の教えは今の時代に読んでも全然色あせないのであります。

それから墨蹟の紹介も喜んでくださっているようです。

前回は虎渓三笑という禅画について解説して動画にしたのでした。

「虎渓三笑」というのは「(画題)東晋の僧慧遠が廬山の東林寺に隠居して虎渓を渡るまいと誓ったが、陶淵明・陸修静の二人の帰りを送って思わず俗界禁足を破って虎渓を過ぎてしまい、三人ともに大笑したという伝説に基づいたもの。三笑。」と『広辞苑』に解説されています。

宗教や思想は異なっていても、お互いに語り合って、結界である虎渓を過ぎてしまったのを忘れていて、三人で大笑いしたというのです。

なかなか味わいのある画なのです。

禅文化研究所のYouTubeでは、コメントも書けるようになっているので、視聴してくださった方のお声も聞けて、有り難いものです。

今回の墨蹟紹介は一行書を取り上げました。

東嶺禅師の「柏樹子の話に賊機有り」という書を取り上げました。

あらかじめ研究所の方にお願いして、墨蹟を出してもらっています。

東嶺禅師の書を実際に目の当たりにすると、その迫力に圧倒されてしまいます。

柏樹子の話というのは、これは唐代の禅僧の趙州和尚の問答にあるものです。

『無門関』第三十七則にあります。

「庭前柏樹」

趙州、因みに僧問う、如何なるか是れ祖師西来意。
州云く、庭前の柏樹子。

という公案です。

意味を申しますと、趙州和尚に、ある僧が質問しました。

達磨大師がはるばる西の国印度からお越しになったのはどういう意味でしょうかと。

これは、達磨大師は、印度から中国に見えて禅を伝えてくださったのですから、禅とはどのような教えでしょうかという問いであります。

それに対して趙州和尚は、庭の柏の木だと答えられたのでした。

柏といっても、柏餅の葉っぱに使われる柏ではありません。

真柏とか柏槇という常緑の樹木であります。

円覚寺の方丈の前の庭にも、開山仏光国師お手植えと伝えられる柏槙の木があります。

これは大木であります。

その当時の趙州和尚の庭の柏槙がどれほどの大きさであったかは分かりません。

今も趙州和尚のいらっしゃったお寺は、中国で柏林寺と申します。

この問答には続きがあります。

庭の柏の木だという答を聞いた僧は、何のことやら分からずに、外の景色のことを聞いているのではありません、私は禅のことを聞いているのですというと、趙州和尚は、ワシはなにも外の景色の話をしているのではないぞと答えます。

では禅の教えとはどのようなものでしょうかと再び問いますと、趙州和尚はまた同じように「庭前の柏樹子」と答えたのでした。

後にこの問答が世に知られるようになりました。

趙州和尚のお弟子に覺鐵嘴という方がいました。

そこで法眼という僧が、この覺鐵嘴に尋ねました。

聞くところによると趙州和尚には「庭前の柏樹子」という言葉が伝えられているようだが、これは本当ですかと。

当然覺鐵嘴は長年趙州和尚に随侍して修行していましたので充分に知っています。

それでいて相手を試すために聞いたのでありましょう。

すると覺鐵嘴は「先師に此の話無し。先師を謗ずること莫れ」と答えました。

ワシの師匠にそんな話しは無い。ワシの師匠を謗らないでくれといったのです。

その答を聞いた法眼は」真の獅子児よく獅子吼す」といって、覺鐵嘴を褒めたのでした。

禅というのはおもしろい教えでありまして、お師匠さんのいうことをそのままありがたがっているようでは駄目だというのでありましょう。

さて柏樹子の話に賊機有りと言われたのが、妙心寺の御開山関山慧玄禅師無相大師であります。

無相大師の言葉として、柏樹子の話に賊機有り、慧玄が這裏に生死無しというのが伝えられています。

昭和二年に発行された釈佛海著の『妙心寺開山勅諡無相大師御傳』には、「開山無相大師三關」として、

本有円成仏何に依ってか迷倒の衆生となるという言葉と共に、この二つの言葉が載せられています。

では、この賊の機というのは何でしょうか。

機ははたらきですから、柏樹子の話頭には賊のはたらきがあるということです。

賊とは、「そこなう。傷つける。害を与える。無法なことをする。ぬすむ。傷つけて奪い取る。強盗。」という意味があります。

『禅学大辞典』には、

「相手の妄想分別を奪いとる禅者の機用、策略をたたえていう言葉」と解説されています。

この柏樹子の公案は、修行僧の妄想や分別、知識すべてを奪い取る、どろぼうのはたらきがあるということです。

『妙心寺開山勅諡無相大師御傳』には、隠元禅師の話が書かれています。

江戸時代に隠元禅師が妙心寺にお参りに見えたそうです。

開山の語録を拝見したいと願ったのでした。

時の妙心寺の住持は、我が開山には、そのような著述はひとつもないと答えました。

隠元禅師は、不審に思っていました。

これほどの大伽藍の開山となった方が、語録も残されていないとは不思議に思ったのでした。

すると住持は、別にこれというものがあるわけではないけれども柏樹子の話に賊機有りと仰せになった一語が伝わっていますと言いました。

それを聞いて隠元禅師は恭しく三拝されたという話なのです。

柏樹子の話に賊機有りとは、それほどの重みのある言葉なのであります。

禅文化研究所での撮影では、ほかにも愚堂国師にまつわる逸話も話をしたのでした。

どろぼうのはたらきが実際の大泥棒をも改心させたという話で、これまた公開が楽しみであります。

 
横田南嶺

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