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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.03.11
今日の言葉

あとからくる者のために

 あとからくる者のために

あとからくる者のために
苦労をするのだ
我慢をするのだ
田を耕し
種を用意しておくのだ
あとからくる者のために
しんみんよお前は
詩を書いておくのだ
あとからくる者のために
山を川を海を
きれいにしておくのだ
あああとからくる者のために
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みな夫々(それぞれ)自分で出来る何かをしてゆくのだ

本日、三月十一日を迎えて、改めてこの坂村真民先生の詩を思います。

震災については多くのことを考えさせられました。

私自身の生き方も大きく変わっていったのでした。

あれから十年であります。

津波の被害を受けたところは、大きく変わりました。

あれほど積まれていた瓦礫はもうありません。

防潮堤ができたところもございます。

土地が見違えるほど、高くなったというところもあります。

大切な人を亡くされた、その悲しみは消えることはないのでしょうが、その悲しみを胸にいだいて、多くの方は毎日一歩一歩、歩んでいるのだと思います。

大きな傷跡になって残っているものも多くあります。

なかでも、原子力発電所については、今もなお深刻な状況のままであります。

毎日新聞三月八日朝刊の、「風知草」とコラム記事で、山田孝男さんが「廃炉この道でいいのか」という題で書かれていました。

「原発事故十年、遅くとも2051年に廃炉完了 –

が建前だが、溶け落ちた核燃料を取り出せず、工程表は五回書き直され、作業は遅れている -。

それが東京電力福島第一原発の現状ーと気づくのも、十年目でメディアが取り上げるから。

福島から遠ざかるほど、ふだんは誰も意識しない。」

と書かれています。

「忘れていないか」と自問自答します。

メルトダウンした一から三号機の使用済み核燃料搬出は遅れにおくれ、ようやく19年に敷地内の共用プールへ移す作業に着手して、二月には三号機に残った566本の搬出を終えたそうです。

炉心が無事だった四号機からは移転済みらしいのですが、一、二号機では未着手とのことです。
難題は、一から三号機内に解け落ちた燃料デブリだそうで、原子炉とデブリの状態が見えないらしく、ロボットや遠隔操作カメラで断片情報を集めて、21年から二号機のデブリをとり出すべく、英国にロボットアームの試験を頼んだものの、新型コロナウイルスの感染拡大で英国での作業は中断、予定は一年送りと書かれていました。

デブリの総量は推定880トンだそうで、100年でも回収不能という小出裕章先生の見立てが書かれています。

チェルノブイリのように、鉄とコンクリートで固めてしまう「石棺」という言葉も目にとまりました。

チェルノブイリは炉心溶融が一基なのに対して、福島は三基、処理の難しさでは過酷事故の先例を上回るというのです。

「廃炉は順調だと多くの日本人は思っている」ことに対して、山田さんは「確かな根拠はない」と釘を刺されています。

改めて大きな問題だと思わされます。

将来の世代に大きな荷物を残してしまうことになりそうです。

大いに考えさせられます。

最も自分自身にできることはないかと考えても、こうして皆さんに実情を紹介して考えてもらうことくらいしか思い当たりません。

さて、ふるさとを奪われた福島の方々に、何かしてあげられることはないかと、未来連福プロジェクトという活動があります。

毎年福島の方々を鎌倉にお招きして、三泊四日で建長寺に泊まってもらい、鎌倉の神社仏閣をお参りしてもらい、元気になってもらおうと努力されている会です。

私も微力ながら協力して、毎年円覚寺にもお越しいただいて、拙い話をしてきました。

毎年坂村真民先生の詩を朗読して話をしてきました。

その後も手紙のやりとりをしている方もいらっしゃいます。

しかし昨年はコロナ禍で開催できませんでした。

新型コロナウイルスは、そんな私たちのささやかな支援活動をも停止させてしまったのでした。

もっとも、そんな程度の支援で被災地の方の悲しみが消えるわけではありません。

三月七日の毎日新聞朝刊の一面には、
「神さま友達を返して」という大きな見出しで、「ー大川小児童、もがいた十年」という記事も目に触れました。

こちらはまた、目に見えない心に深い深い傷を残したままなのであります。

大川小学校の跡には、私も何度か足を運び手を合わせてきました。

初めて訪れた時には、海などは目に入らないところで、ここまで津波が来たとは信じられないと思ったものでした。

言葉でまとめることなどできない多くの思いがございます。

あとからくる若い人たちの為に、今何ができるのかを真剣に考えます。

簡単に答えが出るものではありません。

今の生き方でいいのか。

ずっと考え続け、この問いを胸に抱き続けることであります。

 
横田南嶺

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