一日一語 69

<被写体を探していたら、偶然、目の前に飛んで来て枝にとまってくれました。
 「鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ」という気迫が伝わってきました。>
 お釈迦様は、「空にあるも 海にあるも はた山間にあるも 窟に入るも
およそこの世に 死の力の及び得ぬところあらず」と仰せになりました。
 坂村真民先生の菩提寺が昨年燃えてしまいました。真民先生が、
もっとも心の頼りとされていた一遍上人の重要文化財のお木像も
燃えました。「愛媛新聞」の写真を見ても、本堂の柱をわずかに残して
全焼です。その写真をみて私は茫然としました。
 祈るしかありません。そして、このすべて燃えた寺をご覧になっていたら、
坂村先生は何と仰せになるであろうか。どんな詩をお作りになるだろうか、
ずっと考えていました。やはり、坂村先生は、その焼け跡をご覧になっても、
「生きねばならぬ」と仰せになったと思うのです。
~ 鳥は飛ばねばならぬ
  人は生きねばならぬ
  怒涛の海を
  飛びゆく鳥のように
  混沌の世を生きねばならぬ
  鳥は本能的に
  暗黒を突破すれば
 
  光明の島に着くことを知っている
  そのように人も
  一寸先は闇でなく
 
  光であることを知らねばならぬ。~
(坂村真民全詩集 第3巻より}
{南嶺老師著 『祈りの延命十句観音経』(春秋社)より}